1992年――攻撃的なチーム同士の対戦で力負けした苦い初挑戦。
12月14日の朝に来日を果たしたバルセロナ。現在は17日に行なわれる広州恒大との準決勝に向けて調整を進めているが、選手たちのコメントなどから、その目はすでに20日の決勝戦に向けられていることが窺える。
果たして、バルサがこれからの世界王座を懸けた2試合でいかなるプレーを披露するのか、日本だけでなく、世界が関心を示している。
さて、バルサが来日を果たしたのは、今回で9回目(2005年は2回)。過去に8つの親善試合、そして世界一を決するための5つの公式戦に臨んでいるが、今回は後者の真剣勝負を振り返っていく。
2005年にクラブワールドカップが創設される前、クラブの世界王者はインターコンチネンタル・カップ(トヨタカップ)で決められていた。バルサがこれに初めて出場したのは1992年である。
ウェンブリーでのサンプドリア戦を延長後半のロナルド・クーマンの強烈なFKで制し、初の欧州制覇を果たしたバルサは、ブラジルのサンパウロと対戦した。
当時、トヨタカップでは欧州勢が3連覇中。タレントの流出などにより南米クラブの弱体化が顕著になっていた時期だったが、サンパウロはライーを筆頭にブラジル代表にも名を連ねる選手が多く所属し、しかもそれを束ねるのが名将テレ・サンターナとあって、過去2年とは違い、拮抗した勝負が展開されるものと期待された。
果たせるかな、タレント集団同士の対決は見どころの多い好勝負となる。そしてリードを奪ったのは、ヨハン・クライフに率いられたバルサだった。
12分、中盤でパスカットしたジョゼップ・グアルディオラが相手陣内に突き進んで縦パス。これを受けたフリスト・ストイチコフが約25メートルの距離から、前めに位置取りしていたGKゼッチの頭上を越すミドルをゴール左隅に突き刺した。
しかしここから、サンパウロの攻勢が強まり、カフーの強烈なミドルを皮切りに、中央からサイドから攻め込んでゴールに迫る。
そして27分、左サイドでカフーがクライフの目前で鮮やかな「クライフターン」を決めてアルベルト・フェレールを置き去りにし、ライナー性のクロスを入れる。これを、ライーが腹でコースを変えてゴールに流し込み、サンパウロは同点とした。
後半になると、技巧的かつスピーディーな攻撃を繰り出すサンパウロに対し、バルサはファウルが目立つようになる。試合のリズムは、完全に南米王者が掴んだ。
サイドを切り裂いてチャンスを創出するサンパウロ。何とか耐えて、時折、ミカエル・ラウドルップの鮮やかなドリブルなどでゴールに迫ったバルサ。そして79分、サンパウロが好位置でFKを得た。
ライーが軽くボールを流してカフーがこれを止め、再びライー。右足から放たれたシュートに、GKアンドニ・スビサレータは一歩も動けず、ボールは左隅に決まった。
終盤でついに勝ち越されたバルサ。残り時間で追いつこうと攻撃を仕掛けるも、中盤の攻防では38歳ながら豊富な運動量を誇るトニーニョ・セレーゾらに苦しめられ、サンパウロゴールを脅かすことができずに終わった。
攻撃的なチーム同士の対決で力負けしたバルサ。苦い思いが残る、初の世界王者決定戦となった。
【写真で振り返る】1992年トヨタカップ
◎1992年トヨタカップ
92年12月13日・国立競技場
バルセロナ 1-2 サンパウロ
得点:バ=ストイチコフ(12分) サ=ライー(27分・79分)
◇バルセロナ
出場メンバー:GKスビサレータ、DF クーマン、フェレール、ビチュヘ、MF グアルディオラ、エウセビオ、バケーロ(52分ゴイコエチェア)、アモール、ベギリスタイン(79分ナダル)、FW ラウドルップ、ストイチコフ
監督:クライフ
◇サンパウロ
出場メンバー:GKゼッチ、DF ロナウド、アジウソン、ロナウド・ルイス、ビトール、MF ピンタード、T・セレーゾ(82分ジーニョ)、カフー、ライー、FW パリーニャ、ミューレル
監督:T・サンターナ
果たして、バルサがこれからの世界王座を懸けた2試合でいかなるプレーを披露するのか、日本だけでなく、世界が関心を示している。
さて、バルサが来日を果たしたのは、今回で9回目(2005年は2回)。過去に8つの親善試合、そして世界一を決するための5つの公式戦に臨んでいるが、今回は後者の真剣勝負を振り返っていく。
2005年にクラブワールドカップが創設される前、クラブの世界王者はインターコンチネンタル・カップ(トヨタカップ)で決められていた。バルサがこれに初めて出場したのは1992年である。
ウェンブリーでのサンプドリア戦を延長後半のロナルド・クーマンの強烈なFKで制し、初の欧州制覇を果たしたバルサは、ブラジルのサンパウロと対戦した。
当時、トヨタカップでは欧州勢が3連覇中。タレントの流出などにより南米クラブの弱体化が顕著になっていた時期だったが、サンパウロはライーを筆頭にブラジル代表にも名を連ねる選手が多く所属し、しかもそれを束ねるのが名将テレ・サンターナとあって、過去2年とは違い、拮抗した勝負が展開されるものと期待された。
果たせるかな、タレント集団同士の対決は見どころの多い好勝負となる。そしてリードを奪ったのは、ヨハン・クライフに率いられたバルサだった。
12分、中盤でパスカットしたジョゼップ・グアルディオラが相手陣内に突き進んで縦パス。これを受けたフリスト・ストイチコフが約25メートルの距離から、前めに位置取りしていたGKゼッチの頭上を越すミドルをゴール左隅に突き刺した。
しかしここから、サンパウロの攻勢が強まり、カフーの強烈なミドルを皮切りに、中央からサイドから攻め込んでゴールに迫る。
そして27分、左サイドでカフーがクライフの目前で鮮やかな「クライフターン」を決めてアルベルト・フェレールを置き去りにし、ライナー性のクロスを入れる。これを、ライーが腹でコースを変えてゴールに流し込み、サンパウロは同点とした。
後半になると、技巧的かつスピーディーな攻撃を繰り出すサンパウロに対し、バルサはファウルが目立つようになる。試合のリズムは、完全に南米王者が掴んだ。
サイドを切り裂いてチャンスを創出するサンパウロ。何とか耐えて、時折、ミカエル・ラウドルップの鮮やかなドリブルなどでゴールに迫ったバルサ。そして79分、サンパウロが好位置でFKを得た。
ライーが軽くボールを流してカフーがこれを止め、再びライー。右足から放たれたシュートに、GKアンドニ・スビサレータは一歩も動けず、ボールは左隅に決まった。
終盤でついに勝ち越されたバルサ。残り時間で追いつこうと攻撃を仕掛けるも、中盤の攻防では38歳ながら豊富な運動量を誇るトニーニョ・セレーゾらに苦しめられ、サンパウロゴールを脅かすことができずに終わった。
攻撃的なチーム同士の対決で力負けしたバルサ。苦い思いが残る、初の世界王者決定戦となった。
【写真で振り返る】1992年トヨタカップ
◎1992年トヨタカップ
92年12月13日・国立競技場
バルセロナ 1-2 サンパウロ
得点:バ=ストイチコフ(12分) サ=ライー(27分・79分)
◇バルセロナ
出場メンバー:GKスビサレータ、DF クーマン、フェレール、ビチュヘ、MF グアルディオラ、エウセビオ、バケーロ(52分ゴイコエチェア)、アモール、ベギリスタイン(79分ナダル)、FW ラウドルップ、ストイチコフ
監督:クライフ
◇サンパウロ
出場メンバー:GKゼッチ、DF ロナウド、アジウソン、ロナウド・ルイス、ビトール、MF ピンタード、T・セレーゾ(82分ジーニョ)、カフー、ライー、FW パリーニャ、ミューレル
監督:T・サンターナ