老獪なゲームメイクと球際への激しいチャレンジを両立。

全3ゴールに絡む働きでMVPを獲得。キャプテンとして鹿島に17冠目をもたらしたが「これで満足してはいけない」と、さらなるタイトル獲得への意欲も見せている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)
「やっぱり大きな舞台は好きですし、伊達にたくさん、こういう試合をやってないんで」と振り返る男は、優勝の重みを誰よりも知るがゆえに、誰よりも逞しく戦った。そんなキャプテンの魂は、前半の早い段階で感じられた。
まずは4分、果敢にエリア内に侵入して相手GKと接触しながらシュートを試みる。6分にはG大阪のキーマンである遠藤保へのパスを読み切り、出足鋭くパスカット。そして7分、駆け上がる倉田と並走し、守備の人数が少ないと見るや躊躇なく身体をぶつけた。
攻めて、守って、潰す。当たり前ながら様々なことが求められるボランチのポジションで、身体を張って戦う気持ちを示した。「勝利にこだわるのがこのチーム。それができれば良いサッカーができる」(小笠原)という哲学を、身を持って体現したのだ。
1、2点目を生んだ自身のCK、または金崎やカイオの切れ味鋭い突破、パトリックを抑え切った昌子の空中戦に比べれば、見過ごされがちなシーンだろう。ただ、この立ち上がりの一連のプレーで見せたキャプテンの闘う姿勢が、鹿島を勢いに乗せ、勝利を呼び込んだ気がしてならない。
小笠原は、老獪なゲームメイクと球際への激しいチャレンジを両立させた。そして中盤で相手のボールを狩り取り、くさびを打ち込み、こぼれ球を拾ってシュートに持ち込む――。積み重ねた経験値はそのままに、まるで身体だけ若返ったかのようなプレーは、明らかに異質だった。
なにがここまで背番号40を燃え立たせるのか。それは、いくつもの優勝を積み重ねてなお、いまだ冷めないタイトルへの飢えと、深いチーム愛だ。
「タイトルを獲らないとつまんないし、面白くない」(小笠原)
ぶっちゃければ、そういうこと。ただ、「俺も上の人に引っ張ってもらってここまで来たけど、アントラーズはタイトルを獲ってこそのチームだと思う。タイトルを獲った者にしか見えないモノ、勝った人にしか味わえない感覚があるから。そういう意味でも、続けてタイトルを獲らないといけない。これで満足してはいけない」(小笠原)。
さらに、こうも続けた。
「こうやってチームは強くなっていく」
熱き小笠原が引っ張る鹿島は、圧倒的な力でG大阪を下した。そしてこの強さが、チームの伝統の新たな1ページとして今後の下地になっていく。常勝軍団のサイクルが、再び回り始めている。
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)
まずは4分、果敢にエリア内に侵入して相手GKと接触しながらシュートを試みる。6分にはG大阪のキーマンである遠藤保へのパスを読み切り、出足鋭くパスカット。そして7分、駆け上がる倉田と並走し、守備の人数が少ないと見るや躊躇なく身体をぶつけた。
攻めて、守って、潰す。当たり前ながら様々なことが求められるボランチのポジションで、身体を張って戦う気持ちを示した。「勝利にこだわるのがこのチーム。それができれば良いサッカーができる」(小笠原)という哲学を、身を持って体現したのだ。
1、2点目を生んだ自身のCK、または金崎やカイオの切れ味鋭い突破、パトリックを抑え切った昌子の空中戦に比べれば、見過ごされがちなシーンだろう。ただ、この立ち上がりの一連のプレーで見せたキャプテンの闘う姿勢が、鹿島を勢いに乗せ、勝利を呼び込んだ気がしてならない。
小笠原は、老獪なゲームメイクと球際への激しいチャレンジを両立させた。そして中盤で相手のボールを狩り取り、くさびを打ち込み、こぼれ球を拾ってシュートに持ち込む――。積み重ねた経験値はそのままに、まるで身体だけ若返ったかのようなプレーは、明らかに異質だった。
なにがここまで背番号40を燃え立たせるのか。それは、いくつもの優勝を積み重ねてなお、いまだ冷めないタイトルへの飢えと、深いチーム愛だ。
「タイトルを獲らないとつまんないし、面白くない」(小笠原)
ぶっちゃければ、そういうこと。ただ、「俺も上の人に引っ張ってもらってここまで来たけど、アントラーズはタイトルを獲ってこそのチームだと思う。タイトルを獲った者にしか見えないモノ、勝った人にしか味わえない感覚があるから。そういう意味でも、続けてタイトルを獲らないといけない。これで満足してはいけない」(小笠原)。
さらに、こうも続けた。
「こうやってチームは強くなっていく」
熱き小笠原が引っ張る鹿島は、圧倒的な力でG大阪を下した。そしてこの強さが、チームの伝統の新たな1ページとして今後の下地になっていく。常勝軍団のサイクルが、再び回り始めている。
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)