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【安永聡太郎】リーガ首位のR・ソシエダは何が凄いのか? 新戦力シルバがもたらした“劇的な効果”とは――

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年11月21日

シルバと退団したウーデゴーの違いは?

シルバ(左)とオジャルサバル(右)を中心とした組織的な攻撃サッカーでリーガの首位を走るのがR・ソシエダだ。(C) Getty Images

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 現在、ラ・リーガのトップを走っているのはレアル・ソシエダだ。

 昨シーズン、飛躍を遂げてヨーロッパリーグ(EL)出場権を獲得した。少しだけ昨シーズンを振り返ると、今シーズンからレアル・マドリーに戻ったノルウェーの至宝と呼ばれるウーデゴーがポジショナルプレーの王様として活躍した。

 ただ、彼はロックダウン後のリーグ再開以降、膝を傷めた影響があり、実はあまりパフォーマンスがよくなかった。それでも、いろいろと試行錯誤を繰り返しながら、ギリギリの戦いをチーム一丸となって乗り越え、EL出場権を得られた。今シーズンの好調は、昨シーズンの経験があったからだと考えている。

 今シーズンの変化としてはウーデゴーがマドリーに戻り、クラブとして「どうしよう?」というなか、マンチェスター・シティからダビド・シルバを獲得できたのが大きい。

 ヴィッセル神戸やイタリア行きの話題があったりしたけど、ソシエダにとってはこの洗練されたベテランが入ったのは最高によかった。やっぱり若手への影響力は絶大だから。昨シーズンも3、4節目くらいにアーセナルから左SBのモンレアルを獲得してから、サリーダ・デ・バロン(直訳は「ボールの出口」。ビルドアップに似た言葉で、攻撃の始まりを表わすスペイン特有の表現)が安定した。

【動画】2人抜きからの絶妙スルーパス!ポルトゥのゴールを演出したシルバのスーパーアシスト
 今シーズンもシルバというさまざまな経験値を持つ選手が補強できたのが大当たり! まだ終わっていないけど、仮に大成功でシーズンが終了すれば、この補強が一番の理由になるし、すばらしいフロントの功績になるはず。

 昨シーズンのウーデゴーはオランダでの活躍が認められる形で、久しぶりにスペインに戻ってきて「自分がどういうことができて、どう見られたいか」の段階だったから欲が大きかった。彼と違い、シルバはもう達観している段階なので今さら自分を必要以上にアピールする必要はないし、チームのための働きを安定して実践できる。常に肩の力が抜けた状態なので、「ほら、やってごらん」と次の選手のためのテンポで振る舞うことができる。

 シティでもポジショナルプレーをやっていて、ソシエダにはペップのもとで学んでいたものがそのまま生かせる環境ができていた。今シーズンのチームの好調は、シルバの才能と経験がうまく上乗せされる形になっているからだという理由が大きい。

 今シーズンはスタートから用いられている5人の交代枠を活用し、うまく若手を使いながらチームをいい方向へと導けているアルグアシル監督の采配も光っている。

 スタートはバジャドリーと1‐1で引き分けて重たい感じだったけど、2節のレアル・マドリー戦では昨シーズンの戦い方を取り戻して0‐0で引き分けた。次のエルチェには3‐0で勝って「いよいよエンジンがかかったかな」と感じたタイミングで不調のバレンシアに0‐1でやられたけど、そこからリーグ5連勝している。ちなみにELは2勝1敗だ。

 シルバが前線をコントロールしているからフォワードのオジャルサバルが生き生きとプレーしているよね。右ウイングには、槍型のポルトゥが昨シーズン以上に存在感を見せ、控えのヤヌザイもタイプの違いをピッチ上でうまく表現していい働きをしている。

 このチームのウイングは、基本的に右サイドなら右利き、左サイドなら左利きを置くことが多い。だから、サイドからの仕掛けは低いグラウンダーのボールをGKとDFラインの間に入れること、そして、逆サイドのウイングが斜めにペナルティエリアに侵入してゴールを狙うことが約束事になっている。

 さらに、今シーズンはウイングに逆足の選手を置くことも積極的にトライしているし、一つの戦術として幅を広げているのが試合から明らかに伝わってくる。そういう変化によってピッチ上で何が起こって、監督は何が狙いなのかをシルバが右のインテリオールでプレーすることで円滑に表現できていると感じている。
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