浦和レッズがブリスベン・ロアーに０-１と敗れ、公式戦３連敗を喫した。ACLでは２連敗。早くもグループリーグ突破に赤信号が点った。
 
　ブリスベン戦の敗因は、試合運びの拙さに尽きる。やってはいけないことを、やってはいけないときにやってしまう、ということだ。
 
　これはJリーグ全体の課題だが、この日の浦和がまさにそうだった。やってはいけないこととは、開始直後の失点と後半立ち上がりのレッドカードのことだ。
 
　自陣からつなごうとする浦和に、ブリスベンは序盤から圧力をかけた。その流れの中、浦和はペナルティエリア左外にこぼれたボールを敵に拾われてしまう。
 
　こぼれ球には宇賀神も寄せに行ったが体勢は腰高、しっかりとタックルを繰り出したブロイヒに奪われ、その後の守りも味方任せにしてしまう。このプレーから浦和の組織が崩れていった。
 
　近くにいた柏木が一度はボールを収めるが、処理に戸惑う間に奪い返されてしまう。そして次の瞬間、槙野はブロイヒとボレロの１対２という数的不利に直面することになった。
 
　ボレロのシュートは見事だったとはいえ、この先制点は敵の意図を読めないまま、ぼんやりとゲームに入ってしまった浦和全体の感性の鈍さが招いたものだ。危機感があれば、宇賀神と柏木も中途半端なプレーをすることはなかっただろう。
 
　それにしても宇賀神のプレーは軽率だった。自陣でのボールの争奪戦。敵に奪われたのはともかく、一度の、それも軽い寄せであっさりとプレーをやめ、傍観者になってしまった。
 
　たとえボールを奪えなくても、しつこく足下のボールを蹴り合っていれば、その後の流れは変わっていたかもしれない。いまとなっては結果論だが、浦和は、いや、Jリーグは局地戦での一つひとつのプレーが軽すぎるのだ。
 
　もうひとつのやってはいけないプレーは、那須のレッドカード。それはふたりの選手交代によって、流れを大きく引き寄せた中での出来事だった。
 
　鈴木からの緩いバックパスに、敵がプレッシャーをかけてくる。これで慌てた那須が鈴木に返そうとしたところを一気にさらわれ、後ろから抱きついて倒してしまった。このレッドカードで、浦和は流れを手放す羽目になった。
 
　鈴木からのパスが緩かったことを差し引いても、那須のプレーはあまりにも軽率だった。敵に圧力をかけられて冷静さを失い、最悪の状況を招いてしまった。
 
　味方（西川という選択肢もあった）につなぐのが難しければ、タッチラインに蹴り出してプレーを切ってもよかっただろう。だが、そうした判断ができなかった。
　これは状況解決能力が足りないということ。味方が猛攻を繰り広げ、ラインを大きく上げているときこそ、守備陣は細心の注意を払っていなければならない。
 
　試合の流れを読めず、局地戦での戦いにも弱い。選手たちは口癖のように「修正する」、「切り替える」と言うが、こうした課題は短期間で治るようなものではない。
　プロ選手は幼いころから、それこそ何万回、何十万回とボールを蹴ることで、プレーを身につけているからだ。良いものも悪いものも、身体に染みついてしまっている。