【ビッグクラブの回顧録】“あの時”のバルサを振り返る Vol.21~2011-12シーズン ~

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年12月15日

バルサ包囲網に苦しんだグアルディオラ体制の最終シーズン。

横浜で2度目の世界制覇。サントス戦では前半で3点を奪う圧倒的な攻撃力を見せ、サントスの選手たちに「バルサに勝てるチームはいない」と言わしめた。 (C) Getty Images

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バルサの哲学に従い、明晰な頭脳で最強チームを創造したグアルディオラ。そして、そんな彼に与えられた最高の環境のなかで、類稀な才能を十二分に発揮したメッシ。偉大な2人の共演は、このシーズンで見収めとなった。 (C) Getty Images

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 ジョゼップ・グアルディオラ体制の4年目。前シーズンにリーガとチャンオンズ・リーグ(CL)の二冠を達成したが、ペップはチームのさらなる進化を追求した。
 
 オフには、ターゲットだったアレクシク・サンチェスとセスク・ファブレガスの獲得に成功。2010年夏にサンドロ・ロセイが会長に就任してから、バルサは戦力補強において迅速に動けるようになり、狙った獲物を逃すことはなかった。
 
 この補強に加え、カンテラ育ちのMFチアゴ・アルカンタラが正式にトップチームに昇格したことで、替えの利かない存在であるリオネル・メッシ、シャビ、アンドレス・イニエスタの負担が軽減されると期待された。
 
 ここまで、国内外で圧倒的な強さを誇ってきたバルサだが、その分、他チームからのマークは年々厳しくなり、世界レベルで「バルサ包囲網」を敷かれることに。研究され尽くされる状況のなかで、グアルディオラはライバルたちのさらに先を行くことを強いられた。
 
 そのための秘策のひとつが、シーズン途中から採用された3-4-3システムだ。両ウイングをサイドに張らせることで、中央に空くスペースをメッシとMFで活かすという狙いは見事に的中し、バルサは2年ぶりにリーガでの総得点を3桁の大台に乗せることとなる。
 
 しかし、バルサはリーガでは常に宿敵レアル・マドリーの後塵を拝した。総勝点91は通常なら優勝してもおかしくない成績だが、32勝4分け2敗のマドリーとは9もの勝点差。バルサが首位に立ったのは7、8節だけであり、35節のクラシコで1-2と敗れ、とどめを刺されたのである。
 
 このクラシコと同時期に、CLでは準決勝でチェルシーと対戦し、0-1・2-2で敗退。「死の3連戦」で1勝もできなかったバルサは、目標だった2つのタイトルを同時に失った。
 
 このシーズン、バルサが得たのは国王杯、そして2011年12月に日本で戦ったクラブワールドカップだ。準決勝でUAEのアル・サード、決勝ではネイマール擁するブラジルのサントスをそれぞれ4-0で一蹴し、改めてバルサ強しの印象を世界に与えた。
 
 しかし、この大会でビジャが左脛骨折でシーズンを棒に振ることに。これ以外にも、バルサは多くの負傷者に見舞われた。期待のA・サンチェスは怪我で序盤戦は活躍できず、同じくFWのペドロ・ロドリゲスも苦しんだ。
 
 怪我人やハードスケジュールによるコンディション低下だけがバルサを苦しめたわけではない。前述した4-3-3から3-4-3への変更は、これまで以上に守備陣への負担を増加させ、それが攻守のバランスを乱し、中盤の支配力をも低下させていった。
 
 メッシを最大限に活かし、リーガで50得点(もちろん得点王)という前人未到の大記録を達成させたシステムは、バルサにとって諸刃の剣でもあったのだ。
 
 苦しかったこのシーズンの後、グアルディオラはアシスタントのティト・ビラノバに後を託して、バルサの監督を退いた。栄光に満ちた4年間の最後は、やや寂しい結果に終わったものの、これで彼の価値が下がるようなことはなかった。
 
 安定を嫌い、常に挑戦と進化を推し進めたことで、バルサはサッカーの歴史を変え、そのブランド価値を飛躍的に上昇させた。このシーズンのシステム移行も、新たなオプションをチームにもたらしたということで、決して間違いではなかった。
 
 かつてクライフがそうであったように、ペップは己の哲学と魂をバルサに浸透させた。そして少しの休息を経て、彼はまた、新たな驚きを世界に発信していくこととなる。

監督:ジョゼップ・グアルディオラ(スペイン)
その他の主なプレーヤー:GK ピント、DF D・アウベス、アドリアーノ、アビダル、マクスウェル、モントーヤ、MF チアゴ、ケイタ、FW クエンカ、ビジャ、テージョ、アフェライ

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ペドロが負傷した際には、Bチームから昇格したばかりのアイサク・クエンカ(写真)がその穴を埋めた。このシーズンも、グアルディオラ監督は積極的にカンテラ出身の若い選手を登用。クリスティアン・テージョもデビューイヤーでゴールを挙げた。セスクがチームにフィットしなかったのは誤算だが、これをカバーのしたのもカンテラ上がりのチアゴだった。 (C) Getty Images

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◎2011-12シーズン成績
リーガ:2位(28勝7分け3敗・114得点29失点)
国王杯:優勝(対アスレティック・ビルバオ)
チャンピオンズ・リーグ:準決勝敗退(対チェルシー)
クラブワールドカップ:優勝(対サントス)
 
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(50点)、A・サンチェス(12点)、シャビ(10点)、セスク(9点)、ビジャ(5点)、ペドロ(5点)、テージョ(3点)、ケイタ(3点)、プジョール(3点)、イニエスタ(2点)、チアゴ(2点)、ピケ(2点)、クエンカ(1点)、ブスケッツ(1点)、アドリアーノ(1点)、D・アウベウ(1点)
 
◎主なトランスファー
◇IN

MF セスク(←アーセナル)
FW A・サンチェス(←ウディネーゼ)

FW クエンカ(←ユースから昇格)
FW テージョ(←ユースから昇格)
◇OUT

DF G・ミリート(→インデペンディエンテ)
FW ボージャン(→ローマ)
FW ジェフレン(→スポルティング)

DF マクスウェル(→パリ・サンジェルマン)
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