第6回はピッチ内外で厚い信頼を集めるハビエル・マスチェラーノ、真摯な仕事人トーマス・ヴェルメーレン、そしてトルコの国民的英雄アルダ・トゥランだ。
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Javier MASCHERANO
ハビエル・マスチェラーノ
背番号14/MF/アルゼンチン代表/1984年6月8日生まれ/174センチ・73キロサッカーを離れれば、趣味は読書、映画やシリーズものドラマの鑑賞。大人しい性格のハビエル・マスチェラーノはどこまでも地味である。
故郷アルゼンチンを離れて欧州生活は10年を越えたが、今でも好物はアサード(アルゼンチン風バーベキュー)。とはいえ「食べ物には最大限、気を遣うし、できるだけ幅広く食べるようにしている」とプロとしてのケアを忘れない。
妻のフェルナンダさんが「自分には厳しいけど、周囲にはそうじゃない」とその性格を評す通り、ピッチ上の顔は別物だ。マスチェラーノが冠する「ヘフェシート(小さな上官)」、「エル・リオン(ライオン)」などの愛称は、そのキャプテンシーを端的に表わしている。
試合に負けたり、チームメートに悪い噂が流れたり、チームがバッシングにされたり逆境に陥ると、マスチェラーノは必ず矢面に立つ。逃げることなく、言い訳をすることもなく、チームの責任者の一人として、丁寧にメディア対応するのだ。
しかも、おざなりでその場を繕うのではなく、常に真摯に自分の意見を述べる勇敢な態度で――。この一見簡単そうなことが、いかに難しいか。長年、現場に通っているとよくわかる。
表向きはキャプテンやリーダーの立場にあっても、そういった状況下では発言一つひとつが大きく取り上げられてしまうため、メディアを避ける選手は少なくないのだ。
その意味でマスチェラーノは、真のリーダーと言える。だからこそ、ロッカールーム内外で彼を賞賛する声が止まないのである。