【ルーツ探訪】テネリフェ移籍が決定した柴崎岳が貫く“ぶれない信念”の原点とは

カテゴリ:日本代表

安藤隆人

2017年02月01日

年代別代表で宇佐美が良きライバルに。青森が育んだ“ぶれない信念”は今もまったく変わらない。

年代別代表時代から切磋琢磨してきた宇佐美(11)。イラク戦では、ともにスタメン出場し輝きを放った。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 年代別代表でのプレーは、やはり柴崎にとって刺激になったようで、特に宇佐美に対しては当時から特別な感情を持っていた。
 
「僕には常に上がいる。宇佐美は本当に凄い選手。でも、宇佐美は僕にはないものを持っているけど、僕も宇佐美にないものを持っている」
 
 同世代でも抜きん出た実力者だった宇佐美は、柴崎にとっても「凄い」と素直に思える選手だった。ただ、自分も負けていない。その反骨心が、また彼の成長を助けた。
 
 中学生時代から高校生に混じってプレーしていた柴崎は、進学して青森山田高の一員になると、1年から10番を背負う不動の存在となる。U-16、U-17日本代表でも背番号10を託され、アジアと世界を経験した。
 
「サッカーに取り組む姿勢は群を抜いていた。自らのプレーや取り組みで、仲間に示そうとしていたね。そのなかで、スキルアップを目指して、抜かりなくトレーニングしていた」(黒田)
 
 柴崎の成長速度は衰えなかった。そして、高2の選手権で準優勝。柴崎の名前は一気に全国にまで広まった。その時、彼はこう話している。
 
「選手権の実況で、僕のことを『リトル遠藤(保仁)』と言っていたのは嫌だった。もう言われたくないですね。来年はなんて言われるんですかね(笑)。もう『リトル』はないかな。『○○二世』は嫌だな。そう言われないように頑張ります」
 
 自分は自分。人は人。成長に必要な目標やライバルを歓迎する一方で、自分がその人物になりたい訳ではない。それもまた、負けず嫌いがなせる業か。
 
 高2の選手権後に鹿島入りを早々に決め、「これで逃げ道は無くなった。プロとして恥ずかしくないプレーをしないといけない」と、自分に厳しく、かつ信念を持って挑んだ高校最後の1年も妥協はなかった。高3の1年間は『プロとしての立ち居振る舞い』をピッチ内外で貫いた時間でもある。だからこそ、彼は鹿島に入って1年目から活躍の場を確保し、さらに成長できたのだろう。
 
「小1でサッカーを始めて、プロがあることを知った時から、ずっと目標としていました。その考え方がぶれることは一切なかった」
 
 念願の日本代表にまで登り詰め、誰もが認める鹿島の主力になった今でも、柴崎の根っこにあるものは同じだ。
 
「僕は周りに対して後ろから付いていくタイプではない。監督やコーチ、ベテランの人の意見を参考にしながら、やっぱり自分が思ったとおりにやっています」
 
 ぶれない信念を橋本、黒田をはじめとする指導者たちに認められ、大切に伸ばされてきたからこそ、今がある。柴崎は青森の地で育んだスタンスを変えることなく、今も黙々と前進を続けている。
(文中敬称略)
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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