【ルーツ探訪】テネリフェ移籍が決定した柴崎岳が貫く“ぶれない信念”の原点とは

カテゴリ:日本代表

安藤隆人

2017年02月01日

悔し涙を流し続けた末についに掴んだ小6での歓喜。

いまや鹿島で不動のボランチとなった柴崎。人一倍の悔しがり屋は、少年時代から今も変わっていない彼のパーソナリティだ。写真:徳原隆元

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 今も変わっていない彼のパーソナリティがある。当時から、ひと一倍悔しがり屋だったことだ。
 
 卓越した技術を持ち、チームでも抜きん出た存在だった柴崎のドリブルは、同級生ではとても止められなかった。そのため、1対1のトレーニングは監督である橋本と行なっていた。当然、小学生が大人に勝てるわけがない。しかし、そこで負けると柴崎は涙を流したという。
 
「初めて見ましたよ。普通は大人に負けても、それほど悔しくないはずなんです。それなのに、岳は違った」
 
 エピソードは他にもある。小4のフットサル県大会でのことだ。相手に激しいマークを受けた柴崎は、冷静さを失い、本来のプレーができなかった。それを受けて、橋本はたまらず中心選手であった柴崎を交代させた。すると柴崎は、そのままベンチで号泣。また、ひとつ学年が上がった5年生の春。今度はサッカーの新人戦決勝で敗れてしまった。そこでも柴崎は、ひと目もはばからず涙を流した。
 
 さらに小6になると、チームの中でも身体が大きかった柴崎は、すべてにおいてチームの要となっていた。だが、5月の全日本少年サッカー大会でまたも苦い経験をする。勝てば全国大会につながる大事な県予選決勝で、弘前市の選抜チームに敗退してしまったのだ。
 
「そこでも岳は泣きましたね。もう4年生、5年生、6年生の5月までは、県大会で悔し涙しかなかったと思います」(橋本)
 
 勝ちたい。負けたくない。この強い気持ちが、柴崎を突き動かしていた。勝つために全力を尽くすがゆえに、どんな敗北も受け入れられないのだ。これは彼の美学であり、信念と言っていい。だからこそ、天賦の才に驕らず、まっすぐに成長できたのだろう。
 
 当然、涙の先には歓喜がある。
 
 小6の青森県少年サッカー大会で、野辺地SSSは初優勝を飾った。この優勝で勢いに乗ったチームは、その後の東北大会の県大会も制し、全日本フットサル大会県予選(バーモントカップ予選)でも優勝。小学生フットサルの全国大会である、バーモントカップに出場した。
 
「ただ、初めての全国大会となったバーモントカップは、私自身の大きな反省があるんです。試合前日に現地に移動してしまった。準備不足ですよね。メンバーは揃っていたんですが、勝てませんでした」
 
 当時のエピソードを、橋本は懐かしそうに語る。確かに、全国の舞台に万全の状態で挑めなかったのは、悔いが残ることだろう。だが、青森の小さなクラブが、一気に全国大会に勝ち進むのは、まさに快挙だ。そのドラマの主人公となった柴崎は、瞬く間に青森では誰もが知る存在となっていた。
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