三笘、田中が離脱しても強さは維持されるのか?
昨シーズンの守田選手に続き、主力選手が移籍する流れは続きそうです。さらに20日には田中選手が移籍を前提にチームを離脱することになりました。ここ数シーズンの活躍を見れば、当然の流れと言っていいかもしれません。さらに、同じ東京五輪世代の選手で、三笘薫選手もこの夏の移籍が取り沙汰されています。
基本的に私は、このふたりの選手がチームを離れても、川崎の強さは維持されると考えます。もちろん、三笘選手のドリブルの突破力や田中選手のゲームメイク力、ボール奪取力がなくなるのは痛手でしょう。
しかし、守田選手の時と同じように、代わりに入ってきた選手、もしくは抜擢された選手がコンセプトの中で動くでしょうし、普段のトレーニングの質の高さ、強度の高さは多くの選手が共有し、そこの基準は分かっているので、代わりの選手がいざ試合に出るとなっても、これまでの選手と同じ、もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮しようとするはずです。
それは外からくる選手かもしれませんし、中から輩出される選手かもしれませんが、スタメンや途中出場の選手たちのパフォーマンスを、ベンチ外や育成年代の選手も見ている。それがクラブの基準として醸成されているんです。三笘選手や田中選手とはまた違った個性、パーソナリティを持った選手の特長を活かしつつ、チームのコンセプト通りにやれれば、簡単に質や強度は落ちないでしょう。
仮に三笘選手が絶対的な存在であれば、常に試合ではスタメンで使っているはず。でもそうではないし、三笘選手がベンチスタートでも負けているわけではない。大久保嘉人選手や中村憲剛選手などが抜けてもチーム力は落ちなかった。一選手に依存していないという土台の強さがいまの川崎のサッカーだと思います。
最後に、川崎のもうひとつの強さについて、私の経験談から話したいと思います。私は渡り歩いた3クラブでどのクラブでも選手たちに川崎をプレゼンしてきましたが、やはりプロの選手であっても川崎とやることに、変なプレッシャーを感じることがあるんです。
川崎からすれば、とくに何かをやっているわけではない。しかし、イメージ先行でプロ選手ですら、「次は川崎だ……」というような圧力を感じることがあります。例えばボールを持っている時に失ってしまうんじゃないかとか、プレッシャーが来ているんじゃないかとか。そうした圧力を感じながらやっていると、そこから生まれるミスもあるでしょう。実際は来ていないのに、来ていると感じてしまう。そういう細かな見えない圧力も含めて、人がやるスポーツなので、やはりプレーには影響してきます。
実際に現場でやっていた時も、「やっぱり川崎の圧力が……」みたいな話をする選手もいましたし、その部分は現場を経験したからこそ分かる部分でもあります。
ですから、自分自身の仕事としては、情報を伝える際も川崎の凄みを伝えることはせずに、「川崎は大したことない」ということをいかに伝えるかにフォーカスしていました。それほどまでに、相手選手への心理的プレッシャーを与える力が、今の川崎にはあるということです。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
基本的に私は、このふたりの選手がチームを離れても、川崎の強さは維持されると考えます。もちろん、三笘選手のドリブルの突破力や田中選手のゲームメイク力、ボール奪取力がなくなるのは痛手でしょう。
しかし、守田選手の時と同じように、代わりに入ってきた選手、もしくは抜擢された選手がコンセプトの中で動くでしょうし、普段のトレーニングの質の高さ、強度の高さは多くの選手が共有し、そこの基準は分かっているので、代わりの選手がいざ試合に出るとなっても、これまでの選手と同じ、もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮しようとするはずです。
それは外からくる選手かもしれませんし、中から輩出される選手かもしれませんが、スタメンや途中出場の選手たちのパフォーマンスを、ベンチ外や育成年代の選手も見ている。それがクラブの基準として醸成されているんです。三笘選手や田中選手とはまた違った個性、パーソナリティを持った選手の特長を活かしつつ、チームのコンセプト通りにやれれば、簡単に質や強度は落ちないでしょう。
仮に三笘選手が絶対的な存在であれば、常に試合ではスタメンで使っているはず。でもそうではないし、三笘選手がベンチスタートでも負けているわけではない。大久保嘉人選手や中村憲剛選手などが抜けてもチーム力は落ちなかった。一選手に依存していないという土台の強さがいまの川崎のサッカーだと思います。
最後に、川崎のもうひとつの強さについて、私の経験談から話したいと思います。私は渡り歩いた3クラブでどのクラブでも選手たちに川崎をプレゼンしてきましたが、やはりプロの選手であっても川崎とやることに、変なプレッシャーを感じることがあるんです。
川崎からすれば、とくに何かをやっているわけではない。しかし、イメージ先行でプロ選手ですら、「次は川崎だ……」というような圧力を感じることがあります。例えばボールを持っている時に失ってしまうんじゃないかとか、プレッシャーが来ているんじゃないかとか。そうした圧力を感じながらやっていると、そこから生まれるミスもあるでしょう。実際は来ていないのに、来ていると感じてしまう。そういう細かな見えない圧力も含めて、人がやるスポーツなので、やはりプレーには影響してきます。
実際に現場でやっていた時も、「やっぱり川崎の圧力が……」みたいな話をする選手もいましたし、その部分は現場を経験したからこそ分かる部分でもあります。
ですから、自分自身の仕事としては、情報を伝える際も川崎の凄みを伝えることはせずに、「川崎は大したことない」ということをいかに伝えるかにフォーカスしていました。それほどまでに、相手選手への心理的プレッシャーを与える力が、今の川崎にはあるということです。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部

Jリーグ優勝クラブで活動していたアナリストの杉崎健氏。Twitter(https://twitter.com/suzakken)やオンラインサロン(https://community.camp-fire.jp/projects/view/356767)などでも活動中。
【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。
◇主な来歴
ヴィッセル神戸:分析担当(2014~15年)
ベガルタ仙台:分析担当(2016年)
横浜F・マリノス:アナリスト(2017年~20年)
◇主な実績
2017年:天皇杯・準優勝
2018年:ルヴァンカップ・準優勝
2019年:J1リーグ優勝
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。
◇主な来歴
ヴィッセル神戸:分析担当(2014~15年)
ベガルタ仙台:分析担当(2016年)
横浜F・マリノス:アナリスト(2017年~20年)
◇主な実績
2017年:天皇杯・準優勝
2018年:ルヴァンカップ・準優勝
2019年:J1リーグ優勝