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旗手怜央が語った川崎への感謝。五輪メンバー入りへ転機になったSB起用とライバル・三笘薫の存在

カテゴリ:日本代表

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年06月23日

SBをやってなかったら…

東京五輪のメンバーに選ばれた旗手。喜びを語った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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「このチームでサッカーをやっていて良かった。率直にそう思いました」

 6月22日、東京五輪のメンバーに選ばれた川崎の旗手怜央に、名前を読みあげられた瞬間の想いを訊くと、そう答が返ってくる。

“このチーム”というのは、言わずもがな川崎フロンターレのことである。

「こういう会見で名前を呼ばれることはなかったので、嬉しかったですし、今までいろんな人と出会って、支えてもらえたからこそだたと思っています。選ばれた時はすべての人への感謝の気持ちが湧きました。

 そしてこのチーム(川崎)でやってきたこと、日頃の練習や試合でのレベルの高さだったり、質の高さ、僕自身を成長させてくれました。名前を呼ばれた時に感じたのは、このチームでサッカーをやっていて良かった。率直にそう思いました。まだオリンピックに選ばれただけですが、僕の選択は悪くなかったと、納得できました」

 笑顔を浮かべた場所は、川崎のACLのグループステージが開催されるウズベキスタンである。メンバー発表までのここ数日は、その環境にいたからこそ、強く緊張することはなかったという。

「発表に関しては、気にしていないことはなかったんですが、チームもACLに来ていて、ウズベキスタンで調整をしていたので、それが上手く気にさせてくれなかったというか、自分自身は気になっていたところもありましたが、環境がそうさせてくれたので、この数日間は良い形で過ごせました」

 迎えた当日、森保一監督の口から読みあげられたのは「DF、13番、旗手怜央(はたてれお)」の名だった。
 本来、旗手のメインポジションとカウントされていた中盤2列目は、久保建英、堂安律、そして同僚の三笘薫らが顔を並べる東京五輪代表での最激戦区であった。

 ただ、旗手自身が語るように、メンバー入りの転機となったのは、2020年に順天堂大から川崎に加入したこと、そして新型コロナウイルスの影響で大会が1年延期になったことだ。川崎での登録はFW。入団1年目の昨季は当初、4-3-3のウイングとして、本来のアタッカーとしての能力を示した。

 もっとも月日が経つごとに、輝き出したのが、学生時代にも高く評価されていたポリバレント性であり、3枚の中盤のインサイドハーフでのプレーも増えると、昨季シーズン終盤には鬼木達監督から驚きのポジションを与えられた。レギュラーだった登里享平らの負傷もあり、左SBへコンバートされたのだ。

 初めてというポジションへの挑戦。当初は本人もどこか不安げで、周囲も半信半疑であった。それでも鬼木監督の期待値は高かった。

「彼にしかできない動きをしてほしい。SBの枠にとらわれる必要はない」

 その言葉を体現するかのように、試合をこなすごとに、プレーが変わっていく。タッチライン際をアップダウンするだけでなく、インナーラップでボールの受け手となり、時には逆サイドまで動いて崩しに関わる。

「そこになぜ旗手?」

 そんな言葉が当てはまるかのような躍動ぶりで、未来のSB像を見ているかのような衝撃だった。今季途中からは登里の復帰によって、再びインサイドハーフなどに戻り、貴重なゴールをマーク。貢献度を高めている。

「サイドバックをやらなかったら、今回のオリンピックに入ってなかったと思います」。本人の言葉にも大きく頷くことができ、本大会ではそのポリバレント性を買われつつ、メインは左SBでの出場が予想される。

 さらにSBを経験したことで、他のポジションをこなす時に視野も広がっており、以前、U-24代表の一員としてアルゼンチンとふたつの強化試合を戦い、川崎に戻ってきた際には、こんなことも語ってくれていた。

「アルゼンチンは攻撃も守備もみんなサボらないですし、全員がそれをやっていて、強度も高かった。あのレベルの選手と競っていく中で、自分が何段階も上に上がらないといけないことを考えると、あの強度をアベレージにしないといけないと思います」

 常に目標を高く設定し、柔軟に進化を続ける。戦術理解度、高い技術力、ゴールセンス……様々なポジションをこなせるのは総合力の高さを誇るからこそであり、その進化は楽しみで仕方がない。

 そして彼の成長には、もうひとつ、欠かせないファクターがあった。それは川崎への同期入団である、カオルこと三笘の存在である。

 大学界切ってのタレントであった、同い年のふたりは比較されることが多く、それは川崎でも変わらなかった。だからこそ、三笘の昨季のブレイクには感化されるところが多かったのだろう。

「一緒に入団して、同期の選手が1年目であれだけ活躍してたら、隣でずっと一緒にやってきた選手も負けてられないっていうことを絶対に思います。本当に僕はそういう想いでやってきました。

 比べられることはありましたが、僕はカオルにはなれないですし、カオルも僕みたいなプレーはできないと思います。だから、良いライバルでしたが、比べないようにしていました。ただ、カオルの存在が僕を上に高めてくれましたし、成長させてくれるキッカケでもありました。本当にいいチームメートを持てたなと思います」

 川崎を代表する想いで、旗手は世界の舞台で戦ってくれるはずだ。そして左サイドで予想される、良いライバルであり、戦友の三笘との連係も大いに楽しみである。Jリーグで力を養ってきた彼らが世界を驚かせば、これほど痛快なこともないだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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