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三笘薫、田中碧が抜けてもチーム力は落ちない!?――アナリスト的視点で見た川崎の強さとは

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2021年06月23日

優勝した2017年に変わったスタッフ陣の体制。2020年から21年にも注目すべき変化が…

 川崎のサッカーと言えば、自分たちの攻撃的なサッカーを押し出すチームというイメージを持たれている方が多いかもしれません。相手の攻撃に対して嵌めに行く守備だったり、システムの噛み合わせを重視したり、あるいは先ほど挙げたように、攻撃でも「システムありき」などと言うと、意外に思われる方も多いのではないでしょうか。

 いまやどのクラブも事前のスカウティングは当然行なっていますし、フロンターレも私がアナリストをやっていた時期から対戦相手の分析はしていたと思います。ただし、スタッフの編成を見れば分かるのですが、私のような専門的なスタッフは置いていなかった。おそらく、コーチ陣の方で分担してやっていたはずです。

 そうしたなかで、優勝した2017年からだったと思うのですが、より専門色の強いテクニカルコーチを入れた。より深く対戦相手を分析して、プラス映像やデータを扱えるアナリストやコーチを置いてから、より強さに磨きがかかった印象があります。

 現在、その方の肩書きはコーチだったと思いますが、在籍していらっしゃって、そうしたスタッフ編成も含めて、やはり“自分たち”だけを見ていてもダメだと感じたのだと思います。もちろん、相手のことを見ていないわけではなかったけれど、より深く分析できる人を置いて、体制をしっかり強化した。チーム関係者と話したわけではありませんが、それが試合にも反映されていると感じます。

 他のJクラブにもアナリストを置くクラブがどんどん増えているのですが、ただアナリストが入ったからと言って強くなるとは限らない。分析ができて、かつ選手への落とし込みもしっかりできて、実際にピッチ上に反映できる……、そういうサイクルが出来て自分たちのやり方や技術・戦術・メンタルが充実してくれば、やはり差は出てくるでしょう。

 そういう意味では、フロンターレにとって2017年は、体制を変えて初優勝という結果を掴んだという点でも、大きな転機となったと言えるでしょう。

 さらに、2020年の昨シーズンから2021年にかけての変化という点で言えば、先ほど挙げたシステムの変更もありますが、データ面でひとつ重要な変化が見られました。

 それは、スプリント回数の増加です。Jリーグの公式サイトには走行距離とスプリント回数の数値が出ていますが、川崎は2020年、走行距離のチーム平均値が110kmでリーグ最下位。2021年もここまで114kmで下から4番目の16位とあまり順位も変わっていません。ただ、スプリント回数に関しては、2020年が1試合平均157回でリーグ15位だったのが、今年は183回でリーグ5位に伸びています。圧倒的にスプリント回数が増えたんです。
 
 もちろん、どのようなシチュエーションのスプリントが増えたのかを詳細に分析する必要はありますが、試合を見たうえでの印象で言えば、ボールを失った瞬間の圧力や前からプレッシャーをかけた時のスピード感。これらの部分は、当然引いて構えて守っていては出せないところで、スプリント回数も増えませんが、奪いに行く守備をして、しかもタラタラ行くのではなく、時速24km以上のトップスピードで行くということも含めて、明らかに変わった部分でしょう。全体的な走行距離があまり変わらず、スプリントが増えたというところを見ても、強度が増したと言えます。

 また、選手の顔ぶれで言えば、2020年終了後にアンカーを務めていた守田英正選手が抜けて、そこにシミッチ選手が入りました。彼が機能するかどうかは、川崎スタッフ陣の一番の不安材料だったと思いますが、それがものの見事にハマった。

 シミッチ選手はボールを受けて散らせるつなぎ役であり、バランサーと言えると思いますが、非常に動ける選手でもあるんです。1試合平均13kmくらいを平気で走ってしまう。いわゆるアンカーを置いた4-3-3を採用した時に弱点になりがちなのが、アンカーの脇のスペースですが、走行距離13kmのシミッチ選手は、そのカバーリングもできてしまう。プラス、田中碧選手や脇坂泰斗選手、旗手怜央選手らも、このスペースが使われることが分かっているので上下動をしっかりやる。

 守田選手が抜けましたが、シミッチ選手、インサイドハーフの選手たちの連係・連動の意識がしっかりできているので弱点になっていない。中盤のキーマンを失っても今の強さが継続されているわけです。
 
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