• トップ
  • ニュース一覧
  • 【日本代表】ストライカー不遇の法則。佐藤寿人、豊田陽平…それでも代表監督に愛されなかった理由

【日本代表】ストライカー不遇の法則。佐藤寿人、豊田陽平…それでも代表監督に愛されなかった理由

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年10月16日

「攻撃の選手にディフェンスをさせたいなんて、あらゆる点でフットボールを分かっていない」(フォルラン)

今年7月にC大阪を退団したフォルランは、ストライカーに守備を求めたチームの方針に「フットボールを分かっていない」と反発している。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 さらに佐藤、豊田のふたりが得点王レースの主役を演じ続ける間に、得点源もFWの役割も少しずつ変化してきた。リオネル・メッシやクリスチアーノ・ロナウド、さらにはアリエン・ロッベンらに象徴されるように、現代サッカーで最もゴールを積み上げているのは、最もゴールに近い位置でプレーをするトップではなく、サイドからゴールへと切れ込むアタッカーたちだ。
 
 Jリーグでも第2ステージ・10節終了時点で、得点ランク首位の座を占めているのは宇佐美貴史である(※原稿執筆は9月24日以前)。むしろ1トップは、最前線の守備者としてハードワークをこなしながらボールを引き出し、周囲を上手く活用することも求められるようになっている。
 
 ただしそのために日本の現場には、大きな誤解も生じている。特にまだなにも武器を持たない育成段階から「守備ができないと試合で使わないぞ」と脅しにかかる指導者が目に付く。まるで小噺のように皮肉な本末転倒ぶりだが、FWとして試合に出る条件が守備だと強調される現場は意外なほど多い。これではいくらチャンスの山を築いても決め切れない試合が増えるのも必然だ。
 
 ディエゴ・フォルランは『フットボール批評』誌で、C大阪時代に大熊裕司監督から「我々には守備のできるストライカーが必要だから」とスタメンを外されたという。
 
「世界のどの監督も、そんなことは言わない。(中略)攻撃の選手にディフェンスをさせたいなんて、あらゆる点でフットボールを分かっていない」
 
 今の日本では、良い試合をしたけれど決め切れなかったというコメントが急増中だ。だがプロが興行であり、観客がゴールを切望するなら、決め切れない試合を良かったと語るのは自己満足に過ぎない。
 
 逆に佐藤や豊田が日本代表で重用されないのは不運だが、彼らはJリーグで紛れもなく対価を超える歓喜をもたらし続けた。その価値は日の丸を付けていなくても、まったく損なわれるものではない。
 
文:加部 究(スポーツライター)
 
※『サッカーダイジェスト』10月8日号(9月24日発売)より抜粋
【関連記事】
中村俊輔、遠藤保仁、小野伸二…を超える「最も衝撃を受けた」と鈴木啓太が引退記者会見で明かした“意外”な選手とは?
大成の条件――欧州で名を上げた中田、中村、本田…。才能では劣らない柿谷がいまだ輝けない理由とはなにか?
中村俊輔、本田圭佑、柴崎岳らが背負う"ナンバー10の使命"――ジーコ元日本代表監督が、中村を使い続けた理由とは
知られざる岡崎の成長秘話 【ルーツ探訪】岡崎慎司――磨き抜いた“サムライ・スピリット”
【ルーツ探訪】本田圭佑――有言実行の男の原点にある挫折と敗北
【ルーツ探訪】テネリフェ移籍が決定した柴崎岳が貫く“ぶれない信念”の原点とは
【ルーツ探訪】佐藤寿人――「回り道」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ