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【スペシャル対談~後編】嵜本晋輔が南葛SCの株式を取得した狙い。 Jリーガー兼ビジネスマン・都倉賢も感嘆する“別次元の思考”とは?

カテゴリ:特集

吉田治良

2021年09月10日

いつかサッカークラブのオーナーになりたい

これからの企業像についても深く掘り下げた今回の対談。Jリーガー、そして事業家としても先輩にあたる嵜本社長(写真下)の言葉に、都倉選手(写真上)も大いに刺激を受けていた。(C) SOCCER DIGEST

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──サッカー界への影響と言えば、バリュエンスは先ほど少し話題に出た南葛SCの株式取得(出資比率33・5%)を決定されましたね。南葛SCとは4月からパートナー契約を結んでいましたが、これでクラブ経営にも本格的に参画することになります。

嵜本:『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が100%持っておられた株式の3分の1を、今回取得させていただきました。ただ、自分がこの約十年間で学ばせてもらった経営のノウハウは、もちろんサッカークラブの経営にも通じる部分はあると思いますが、従来型のやり方ではおそらく上手くはいかないでしょう。というのも、国内にあれだけのチーム数があり、すでにマネタイズする手法も限られているからです。

都倉:では、どうして?

嵜本:ビジネス面での可能性が非常に高いのは、南葛SCが世界で唯一、『キャプテン翼』というIP(知的財産)を活用できるクラブだからです。バリュエンスの役割は、このIPを、我々の拠点がある世界中の企業に企画提案していくこと。実際、すでにこの1~2か月で20社以上の企業と商談させてもらっています。
『キャプテン翼』というIPは不老不死で、活動コストがかからないキャラクターという強みもある。ですから、半永久的にマネタイズできるわけです。例えば、ある企業と組んで『キャプテン翼』のイラストが入った商品を売り出し、その契約金の一部をクラブの強化費に充てていくビジネスモデルを想定しています。最初はわずかな金額かもしれませんが、結果を出していけば、年間数十億円規模のビジネスにもなるでしょう。

都倉:めちゃくちゃ漠然とした夢の話で申し訳ないんですが、実は僕も昔から、いつかサッカークラブのオーナーになりたいと思っていたんです。全然逆算はできていないんですけど。監督も魅力的な職業ですが、経営者のほうが、よりチームや地域全体に大きな影響力を与えられると思うので。だからこれから、しっかりと嵜本さんの動向をウオッチしていきますよ(笑)。

嵜本:僕も8月に南葛SCの取締役に就任したばかりなので、まさにこれから。まだクラブ経営のなんたるかも分かっていないんです。でも逆にそれが、思い切ったこともできて、強みになるかもしれない。ド素人の三兄弟が洋菓子事業を始めた感覚(※二人の実兄とともに出店した焼きたてチーズタルト専門店「PABLO」は現在も人気を博す)感覚に近いかな(笑)。

都倉:これからが楽しみですね。

嵜本:本当に。現在の関東2部から関東1部、JFL、J3とJリーグにたどり着くまで、最低でも3年かかるけれど、逆に言うと3回も昇格体験が味わえるわけだから(笑)。出来上がったクラブより、まだ出来上がっていないクラブを育てていくほうが面白いし、やりがいもある。将来的には、(古巣の)ガンバ大阪と対戦して、打ち負かしたいなと思っています。

──では最後になりますが、都倉選手から嵜本社長に伝えておきたいことはありますか?

都倉:そうですね……バリュエンスの入社試験を受ける時は、僕も嵜本さんにプロポーズしようと思うので、よろしくお願いします(笑)。

嵜本:ハハハ。でも、本当に都倉さんが南葛SCに入る可能性もゼロではないですもんね。そういうことを想像できるのも楽しい。とにかく都倉さんには、今後も引き続きサッカー選手として一流でありながら、ビジネスでも大きな成功を掴んでいただいて、多くのアスリートに気付きを与えてもらいたいなと思っています。また、落ち着いたらご飯でも行きましょう。

都倉:ありがとうございます!

■対談者プロフィール■

嵜本晋輔 Shinsuke SAKIMOTO
1982年4月14日、大阪府出身。関西大学第一高校卒業後、G大阪に入団。3年で戦力外通告を受けると、JFLの佐川急便大阪SCを経て、2004年に引退。その後は父が経営していたリサイクルショップで経営のノウハウを学び、11年に株式会社SOU(現バリュエンスホールディングス株式会社)を設立。代表取締役に就任する。18年3月に東証マザーズへ株式上場。現在はサポートや寄付等を目的としたアスリート公認オークション『HATTRICK』や、アスリートたちのデュアルキャリアを支える取り組みに力を入れている。また今年8月には、パートナー契約を結んでいた南葛SCの株式を取得(出資比率33・5%)し、自ら取締役に就任した。

都倉賢 Ken TOKURA
1986年6月16日、東京都出身。横浜Jrユースから川崎Uー18を経て、2005年に川崎のトップチームに昇格。その後、08年途中に草津、10年に神戸へ移籍。13年シーズン終了後、神戸を退団してデンマークのFCベストシェランでトライアウトに参加するが、契約に至らず、14年3月に札幌へ移籍する。長身を生かしたダイナミックなプレーで、札幌では5シーズンの在籍期間中4シーズンでチーム得点王に。19年から在籍したC大阪でも前線の貴重な戦力となるが、同年5月、右膝に全治8か月の重傷を負い長期離脱。厳しいリハビリを乗り越えて復活を遂げると、今季からはJ2の長崎でプレーする。ツイッターなどSNSの総フォロワー数は約11万人。昨年からは北海道でワイン事業『都倉ワイナリー』(https://tokurawinery.official.ec/)を立ち上げるなど、サッカー以外でも様々なチャレンジをしている。

取材・文●吉田治良
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