浦和のペトロヴィッチ監督は４節の松本戦後（１-０で勝利）、こんなことを嘆いていた。

「４-４-２のゾーンプレスをかいくぐり、より攻撃的なスタイルにしようと考えて辿り着いたのが、現在のスタイル。しかし、日本では最近、同じ３-４-２-１のようでも、５-４-１にして守備を固めてくるところが多い。

　いつか、私のチームを攻撃で上回ってやろうというチームが出てきてほしいと祈りたい」
 
　確かに８人や９人でひたすら守備を固めてくるチームが増加傾向なのは、Jリーグを退屈にさせている要因のひとつに挙げられる（実は結構深刻だと思う）。

　そんななか、この日、湘南、神戸が繰り広げたような、いかにしてゴールを奪おうとするのか試行錯誤を重ねながら、日進月歩の進化を遂げる３-４-２-１は、Jリーグに新たな魅力をもたらすはずだ。そんな両者が対峙したからこそ、マルキーニョスのスーパーゴールも、湘南の意地の同点劇も生まれたのだろう。
 
　もちろん、この日の両チームは途端にプレーが雑になってしまう時間帯があるなど、ムラがあった点は課題で、改善の余地はまだまだたくさんある。それでも彼らが挑戦する姿勢が結実し、ペトロヴィッチ監督の“望み”を叶える日がいずれ訪れるかもしれない。
 
　湘南がスピード、神戸がパワーを前面に出して正面から激突した「進化形３-４-２-１対決」は、互いに譲らず１-１で引き分けた。決着は第２ステージ２節、７月15日の「神戸の陣」に委ねられることになった。
 
　今度はもっとグレードを高めた３-４-２-１対決が実現するはず。いや、策士ネルシーニョ監督は、あえて別の布陣を採用するかもしれない？　試合前の両監督の駆け引きから注目したい。