課題を挙げれば、きりがない。
 
　途中出場の山本康裕に決勝点を許した場面では、持ち味のタイトなプレッシングがルーズになり、その隙を突かれてシュートを打たせてしまった。「バイタルエリアが空いていた」と振り返る山本は、ピッチに立った時からマークの緩さを感じていたと言うだけに、守備組織に問題があったのは確かだろう。

【J１ PHOTOハイライト】１stステージ・９節

【J１採点＆寸評】１stステージ・９節｜全９試合の評価をチェック！
 
　走力を武器に、即座に相手のボールホルダーへ奪いに行く姿勢は悪くないが、食いつきすぎて易々とパスを通されることも少なくない。好位置でFKを与える不用意なファウルも目につく。技術的な差は仕方ないとしても、球際の勝負ではもう少ししぶとさが欲しい。ゲームを落ち着かせるパス回しが向上すれば、余裕を持って攻撃を仕掛けられるだろう。
 
　まだまだ細部を詰めていかなければならない。それを怠れば、状況はさらに悪くなるのは自分たちが一番理解していることだろう。
 
　もっとも、新潟戦は決して悲観すべき内容ではなかった。結果的に勝点がゼロなら、惜敗も完敗も関係ないかもしれないが、十分に次に期待できる戦いぶりを選手たちは表現していたと言っても過言ではない。
 
　とりわけ前半はグッドパフォーマンスだった。早々にPKで先制されるも、気落ちすることなく、すぐに切り替えて相手ゴールに迫った。10分には田中隼磨の素早いリスタートから、岩上祐三のクロスを飯田真輝がヘディングで合わせ、決定機を演出する。シンプルだがスピーディにボールを前に運ぶ攻撃は効果的で、奪われた後の切り替えも早く、高い守備意識で新潟にリズムを作らせなかった。
 
　24分には、田中の気の利いたアシストから、前田直輝が自慢の左足を一閃。豪快なミドルでゴールネットを揺らして同点に追いついてみせる。
 
　これでさらに勢いづくと、複数人が絡んだテンポの良い仕掛けも見られるようになり、鋭い出足でセカンドボールの回収率は高まり、優位にゲームを進めることができていた。