【ヒューマンストーリー】カレン・ロバートという生き方

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェスト編集部

2015年04月25日

「すごく遠回りしたとしても、どうにか辿り着きたい」

エースナンバー10番を背負うカレン。ふた桁をノルマにリーグ得点王を狙う。写真協力:ソウル・イーランドFC

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 その一方で、オランダではセカンドキャリアについても考えるようになったという。週1回の英会話教室に通い始め、チームメイトの吉田麻也がサウサンプトンに移籍した頃には、彼の助けがなくてもピッチ上はもちろん、日常生活に支障がないほどの英語力を身につけた。
 
 またVVVでの3年目のシーズンに、サッカースクール『ローヴァーズ・フットボール・アカデミー』を立ち上げた。そして、つい先日には千葉県社会人2部の『ローヴァーズFC』のオーナーに就任。現役選手がクラブオーナーになるのは異例だが、セカンドキャリアのステップとして捉え、房総半島からJリーグを目指すクラブを支えている。
 
「サッカーを辞めた後、自分がどう食っていくのか。とりあえず英語さえ身につければ、誰とでもコミュニケーションが取れるし、コネクションも作れる。セカンドキャリアの可能性も広がってくる。オランダでの3年間で、サッカー選手としてだけでなく人間としても本当に成長できたと思う」
 
 磐田、熊本、オランダ、タイ、韓国。当初のイメージとはまるで違ったコースを歩んでいるが、イングランドへの想いはこれまで以上に強くなっている。
 
「(吉田)麻也のようにオランダから直接イングランドへ渡るのが理想だったけど、結局はあれからタイのクラブに移籍して、その次は韓国へと流れている。それは、自分が当初に想い描いたキャリアでは決してない。でも、ここで結果を残せたら、おのずとイングランドへ近づけると信じている。だからこそ今シーズンは、得点王を獲りたい」
 
 ローヴァーズ。カレンが経営しているクラブは、「さすらい人」が語源だが、「栄光と戦いを求めて長旅をする人」という意味も持っている。
 
「イングランドに行けたら、すべての夢が叶う。子どもたちにもそう伝えられるし、両親にも恩返しができる。もちろん僕自身のキャリアにもつながる。だから、すごく遠回りしたとしても、どうにか辿り着きたい」
 
 栄光への道は、決してひとつではない。かつてエリートと呼ばれたJリーガー、カレン・ロバートのサッカー人生は12年前に想像していたものとは違っている。しかし、彼の心は一度もブレない。ソウルの地で勝負のシーズンを迎えた今なお、その視線の先は以前と変わらず、イングランドを見据えている。
 
取材・文:安居院一
 
カレン・ロバート/1985年6月7日生まれ、茨城県出身。市立船橋高を卒業後、磐田、熊本を経て2011年にオランダのVVVへ移籍。2014年にはタイのスパンブリーFCでプレーし、今季からソウル・イーランドFCに加入。現役選手としてプレーする傍ら「ローヴァ-ズFC」のオーナーとしても活動中。
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