【安永聡太郎】クラシコ徹底解剖!マドリー勝利を呼び込んだ「53分54秒」の“変化”とクロースの“二つの動作”。バルサは「メッシ問題」を解決できず…
カテゴリ:連載・コラム
2020年03月04日
メッシを活かすビダルの起用法を再考すべき
選手交代のところで「ビダルが残っていたら、どうだっただろうな」と。彼がクロースに対応していたらもう少し違った状況になっていたのでないかと思います。一枚目でビダルを変えてしまったキケ・セティエン監督の采配ミスだったと、僕は分析しています。
基本的には、グリエーズマン、メッシ、ビダルというトライアングルの関係性、特にメッシとビダルの南米ペアはセットに捉えないといけないと考えています。それはバルサではビダルがメッシをリスペクトしながらも、「オレはオレ」というスタイルを出せる唯一の選手だと思うからです。
そういう選手を代えてしまった「キケ・セティエン監督の采配ミス」というと酷だけど、あそこには「どうだろう?」という疑問符は付きます。
マドリーは中盤のバルベルデが二度追い、三度追いができるから、その空いたスペースをカルバハルとカゼミーロがうまくカバーできて、さらにセルヒオ・ラモスとヴァランヌのツーセンターバックが幅広く動くという連動性・機能性が守備のベースになっています。そういう意味では、自分たちの中で変えてはいけないところをジダン監督は心得ています。
一方で、バルサはメッシを中心としたチーム作りをしているのなら、現在ビダルは攻撃面と守備面との両方を考慮しても、外してはいけないパーツです。でも、キケ・セティエン監督は彼を交代させしまった。ここに「監督の大舞台での経験の差が出たかな」という印象を持っています。
基本的には、グリエーズマン、メッシ、ビダルというトライアングルの関係性、特にメッシとビダルの南米ペアはセットに捉えないといけないと考えています。それはバルサではビダルがメッシをリスペクトしながらも、「オレはオレ」というスタイルを出せる唯一の選手だと思うからです。
そういう選手を代えてしまった「キケ・セティエン監督の采配ミス」というと酷だけど、あそこには「どうだろう?」という疑問符は付きます。
マドリーは中盤のバルベルデが二度追い、三度追いができるから、その空いたスペースをカルバハルとカゼミーロがうまくカバーできて、さらにセルヒオ・ラモスとヴァランヌのツーセンターバックが幅広く動くという連動性・機能性が守備のベースになっています。そういう意味では、自分たちの中で変えてはいけないところをジダン監督は心得ています。
一方で、バルサはメッシを中心としたチーム作りをしているのなら、現在ビダルは攻撃面と守備面との両方を考慮しても、外してはいけないパーツです。でも、キケ・セティエン監督は彼を交代させしまった。ここに「監督の大舞台での経験の差が出たかな」という印象を持っています。
前半は両チームとも前で奪えない場合、守備時には4-4-2でブロックを作りながら守ることがベースでしたが、今のバルサに足りないのは「ポジショナルプレーによる攻守の切り替え」です。全員が常に決められたポジショニングを取ることによりボールを失った時間がリアクションではなく、アクションになる。
でも、バルサはメッシ中心にポジションを取ることにより守備が攻守一体のアクションではなく、その都度リアクションになってしまっています。そこを埋めてくれるのがビダルという存在だと、僕は考えています。
やはり現代サッカーでメッシという特殊なタレントを抱えたとき、彼に「守備のタスクを与えたら良さがなくなる」と分かっているなかで、「じゃあ、何が正しいのか」をキケ・セティエン監督、あるいは今後監督になる人物は見つけ出していかないといけない。メッシの年齢的な衰えとともに、バルサが低迷する時期がすぐ近くまで迫っている。そして、それが長く続くことが何となく見えている気がします。
バルサが「メッシを切る」という選択は間違いなくできないだろうから、この問題を解決しないと、彼がいる間に欧州の頂点に立つことはないだろうなと。今回のクラシコで、その現実を突きつけられたなと思います。
分析●安永聡太郎
取材・文●木之下潤
【分析者プロフィール】
安永聡太郎(やすながそうたろう)
1976年生まれ。山口県出身。清水商業高校(現静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験し、FIFAワールドユース(現U-20W杯)にも出場。高校卒業後、横浜マリノス(現横浜F・マリノス)に加入し、1年目から主力として活躍して優勝に貢献。スペインのレリダ、清水エスパルス、横浜F・マリノス、スペインのラシン・デ・フェロール、横浜F・マリノス、柏レイソルでプレーする。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督に就任。現在はサッカー解説者として様々なメディアで活躍中。
でも、バルサはメッシ中心にポジションを取ることにより守備が攻守一体のアクションではなく、その都度リアクションになってしまっています。そこを埋めてくれるのがビダルという存在だと、僕は考えています。
やはり現代サッカーでメッシという特殊なタレントを抱えたとき、彼に「守備のタスクを与えたら良さがなくなる」と分かっているなかで、「じゃあ、何が正しいのか」をキケ・セティエン監督、あるいは今後監督になる人物は見つけ出していかないといけない。メッシの年齢的な衰えとともに、バルサが低迷する時期がすぐ近くまで迫っている。そして、それが長く続くことが何となく見えている気がします。
バルサが「メッシを切る」という選択は間違いなくできないだろうから、この問題を解決しないと、彼がいる間に欧州の頂点に立つことはないだろうなと。今回のクラシコで、その現実を突きつけられたなと思います。
分析●安永聡太郎
取材・文●木之下潤
【分析者プロフィール】
安永聡太郎(やすながそうたろう)
1976年生まれ。山口県出身。清水商業高校(現静岡市立清水桜が丘高校)で全国高校サッカー選手権大会など6度の日本一を経験し、FIFAワールドユース(現U-20W杯)にも出場。高校卒業後、横浜マリノス(現横浜F・マリノス)に加入し、1年目から主力として活躍して優勝に貢献。スペインのレリダ、清水エスパルス、横浜F・マリノス、スペインのラシン・デ・フェロール、横浜F・マリノス、柏レイソルでプレーする。2016年シーズン途中からJ3のSC相模原の監督に就任。現在はサッカー解説者として様々なメディアで活躍中。