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【安永聡太郎】クラシコ徹底解剖!マドリー勝利を呼び込んだ「53分54秒」の“変化”とクロースの“二つの動作”。バルサは「メッシ問題」を解決できず…

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年03月04日

身体の向きだけでチャンスを作るクロースの凄さ

71分にマドリーが先制点を挙げたシーン。(C)SOCCER DIGEST

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 試合後にあらためて振り返ってみると、僕自身は「1点目のゴールシーンの細かな駆け引き、技術が勝敗を分けたポイントだった」と読み取りました。

 このシーンでは、ヴィニシウスに対してブライトワイト、クロースに対してアルトゥールがマンツーマンでつくことになり、クロスボールに合わせようと動き出したベンゼマのところにセメドが合わせてきていました。

 バルサ側から見ると、実は選手交代が大きく関わっているのですが、これは後ほど説明します。個人的にはブライトワイトを入れたことは間違いではないと思いますけど、ビダルはブスケッツの隣に残してアルトゥールを交代すべきだったと考えています。

 キケ・セティエン監督はボールを保持するタイプのサッカーを志向するので、「ビダルを外してアルトゥールを残す」という意図は理解できます。でも、あの苦しい時間帯はビダルとブスケッツのダブルボランチで、アルトゥールとブライトワイトを交代するほうが正しかったと思います。

 マドリーの得点シーンはヴィニシウスがクロースにボールを下げたとき、このドイツ代表MFは、タッチラインを背負って内側を向いた状態でボールを自分の正面よりややゴールに対して後ろ気味に置きました。その瞬間のヴィニシウスに対するブライトワイトの立ち位置が完全に間違っていました。でも、彼は攻撃の選手だし、仕方がない部分でもあります。

 このゴールシーンで一番のポイントは、クロースのボールの置き所と「中、もしくは斜めにボールを刺しますよ」という身体の向きを作ったことにあります。彼は得点を生んだスルーパスを出す瞬間に足を踏み替え、結果的にボールが自分の前に来るようにスーッと動きましたが、対峙したアルトゥールはクロースが最初に構えた状態を見たときに「中に出すな」とゴールを背負わずに内側を切る状態でプレスを掛けにきました。「内側か、斜めかに入ってきたボールに対して右足で触りますよ」というアルトゥールなりの駆け引きをしていました。

 でも、そのプレスの仕方とブライトワイトの守備の立ち位置違いが重なり合い、スルーパスのラインが空いてしまいました。アルトゥールが横パス、もしくは斜めパスを狙う体の向きを作ったがためにパスラインを開けてしまう結果になりました。

 その瞬間、クロースはヴィニシウスに対してブライトワイトの背後にランニングコースがあることを左手で身振り手振り伝えています。そして、ブラジル代表FWもそれを理解して走り出しました。これがゴールに直接関わった選手たちの分析です。
 
 そして、もう一つは右SBのセメドがベンゼマだけを掴みにいったことが間接的に関わっています。たとえば、このときのもしセルジ・ロベルトだったらブライトワイトの立ち位置を見たときに背後を突かれることを察知し、若干ベンゼマへのマークを捨てながらその背後のスペースをケアできていると思うんです。ネウソン・セメドはベンゼマしか見ていなかったので、スルーパスの門が開いたことに気づきませんでした。

 クロースはボールを受けたときの身体の向き、そのあとの些細な足の踏み替えだけでスルーパスのコースをきちんと活用できるスキルの高さと状況判断力を持ち併せていました。それが試合を決めたと言っても過言ではありません。まぁ、ゴールシーンは、ピケに当たってコースが変わるという運も味方していたんですが……

 失点シーンはバルサ側のミスです。でも、クロースのような世界トップ・トップの選手は足下にボールをピタッと収めた瞬間の体の向きと些細な足の踏み替えだけで決定的なパスコースを生み出せる。何気ないたった二つの動作だけで相手との駆け引きを制して決定的な状況を作ったことに、クロースという選手の質の高さを感じました。
 
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