【横浜】4度目の“ガラ空き被弾”……なぜGK飯倉大樹はそこまでして前に出るのか?

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2018年05月15日

「曲げないですよ、俺は絶対に」

14節を終えて順位は15位と下位に低迷。苦しい時期は続くが、「勝ち始めたら、素晴らしいことだなと思います」と、飯倉は今が踏ん張り時と巻き返しを誓う。(C)SOCCER DIGEST

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 すでに先述した、何度も繰り返された「きつい」の言葉に込められたのは、失点による悔しさだけではない。
 
「やっぱり勝ちたいし、あの1点がなければ今日(G大阪戦)は勝っていたわけだし。そう思うと、やるせないところはある」
 
 自分のせいでチームが勝点3を掴めなかったと自責の念に駆られる。“やるせなさ”は、今季の横浜が取り組むサッカーへの様々な評価にも起因しているのだろう。
 
「やっていること自体はハイレベル」と飯倉は自負し、今のスタイルなら「ある程度のシュートやスルーパスは守り切れる」と言葉に力をこめる。
 
 もちろん、G大阪戦で藤本に浴びせられたスーパーな一撃を食らうこともある。それはある意味、「仕方がない」と割り切るしかないが、そこだけを切り取られて「今のサッカーを、GKを、“またやられた”と見られてしまうことに、なんていうのかな……喪失感みたいな」と、飯倉は少しだけ寂しげな表情を見せたのが印象的だった。
 
 そんな複雑な感情が入り乱れた「きつい」を吐き出した飯倉だが、気持ちは折れていない。
 
「ボスが勝つためのポリシーをずっと持ってやっているんで。俺たちにもそのポリシーというか、曲げちゃいけないものがある。気持ちとか、プライドとかね」
 
 プロの世界は結果がすべてだ。だが、どれだけ苦境に陥り、批判の矢面に立たされても、自分たちを信じ、信念を貫き通そうとするスタンスもまた、プロの姿だと思う。
 
「勝ち始めたら、素晴らしいことだなと思います」と最後に笑顔を見せた飯倉は、去り際にこう言った。
 
「曲げないですよ、俺は絶対に」
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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