前半戦最大のサプライズと言えるのが、６位につけているアタランタ。ジェノアから迎えたジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が、イタリア屈指の充実度を誇る育成部門が生んだマッティア・カルダーラ、ロベルト・ガリアルディーニ、アンドレア・コンティというイタリアU-21代表トリオ、そしてコートジボワール代表の19歳フランク・ケシエという若きタレントを抜擢して、チームを再構築した。
 
　ボールよりも人に基準点を置いたマンツーマン気味の守備、サイドで数的優位を作ってボールを運びクロスでフィニッシュを狙う攻撃という独特のメカニズムを持った３-４-３システムが機能して、６節から14節までの９試合は８勝１分けという快進撃。この勢いを後半戦まで保つことができれば、ヨーロッパリーグ出場権（４～５位）争いのダークホースになりえる。
 
　そのアタランタと並んで期待以上の健闘を見せているのが、シニシャ・ミハイロビッチ新監督率いるトリノだ。アグレッシブな守備から縦に速い速攻を仕掛けるダイナミックな攻撃サッカーで、格下から着実に勝点をもぎ取りつつ、格上とは互角に組み合って乱戦を演じるという指揮官の性格を反映したような戦いを展開している。CFのアンドレア・ベロッティ、ウイングのイアゴ・ファルケとアデム・リャイッチという３トップのクオリティーは、セリエAでもトップ５に入るレベルだ。
　
　ビッグクラブ、中堅クラブが入り乱れて混戦模様の上位戦線と比べると、残留をめぐる下位戦線はやや興味が薄い。というのも、ペスカーラ、クロトーネ、パレルモという降格ゾーンにいる３チームと、すぐ上の17位にいるエンポリとの勝点差が開き始め、このまま降格チームの顔ぶれが固まってしまいそうな雲行きだからだ。
 
　とはいえ、ここまでわずか１勝で最下位に低迷しているペスカーラは、マッシモ・オッド監督の下どんな相手に対しても積極的にボールを支配し、多くの人数を攻撃に送り込むチャレンジングな攻撃サッカーを貫いており、そのスタイルと戦術的な革新性という点では、今シーズンのセリエAで最も興味深いチームのひとつ。降格ゾーンのチームがここまで思い切り良く攻撃サッカーに徹するというのは異例中の異例で、その点ではセリエAの新しい風を感じさせる。今後の戦いぶりにも注目していきたい。
 
【セリエA順位表】
１位：ユベントス（勝点42）
２位：ローマ（勝点38）
３位：ナポリ（勝点35）
４位：ラツィオ（勝点34）
５位：ミラン（勝点33）
６位：アタランタ（勝点32）
７位：インテル（勝点30）
８位：トリノ（勝点28）
９位：フィオレンティーナ（勝点27）
10位：キエーボ（勝点25）
10位：ウディネーゼ（勝点25）
12位：ジェノア（勝点23）
12位：サンプドリア（勝点23）
12位：カリアリ（勝点23）
15位：ボローニャ（勝点20）
16位：サッスオーロ（勝点17）
17位：エンポリ（勝点14）
18位：パレルモ（勝点10）
19位：クロトーネ（勝点９）
19位：ペスカーラ（勝点９）
※18節終了現在。ユベントスとミランは１試合未消化。