【徹底分析】弱小マケドニアにも大苦戦…アッズーリ新監督の戦術は時代遅れ?

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2016年10月14日

早くも手腕や代表監督としての適性を問う議論が出始める。

コンテ前監督(中央)に率いられたEURO2016でアッズーリは、コンパクトかつアグレッシブなモダンフットボールを見せ、ベルギーとスペインに完勝し、ドイツとも互角の戦いを演じた。しかし、現在のチームは…。写真:Alberto LINGRIA

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 主将のブッフォンはこのマケドニア戦後、「この2試合で手に入れた勝点4のすべてに見合っただけの戦いができたわけではない」と率直に語った。
 
 実際、スペイン戦で見せたハイプレスとポゼッションの放棄、マケドニア戦も含めた2試合で露呈した攻撃の戦術的問題(陣形の分断と間延び、中盤の不在、ボールロスト時のフィルター欠如)など、ヴェントゥーラ体制下のアッズーリは、コンパクトかつアグレッシブなモダンフットボールを見せていたコンテ時代と比べると、明らかに試合内容が“退化”していると言わざるを得ない。
 
 この戦いぶりに対しては、目先の結果に論調が左右される傾向が強いスポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』ですら、「サッカーに明確なコンセプトが見えない。敵ゴールから遠いところでボールを回しているだけで、攻撃のアイディアがはっきりしない」、「4試合で7失点は多すぎる。マケドニア戦の失点もミスというより最終ラインがプロテクトされていないから生まれたもの」、「ヴェッラッティを活かす中盤の構成を考えるべき」と、手厳しい論調だ。
 
 結果以上に内容を重視する批評性の高いメディアでは早くも、ヴェントゥーラ監督の手腕やイタリア代表指揮官としての適性を問う議論すらも出始めている。
 
 次の試合は11月12日のリヒテンシュタイン戦(アウェー)。実力差を考えれば戦う前から勝点3が決まっているような試合だが、最終的に得失点差で1位抜けを争う可能性が高いスペインがすでに8-0で勝利しているため、イタリアもできる限り多くのゴールを挙げたい状況だ。
 
 ヴェントゥーラ監督がその手腕をシビアに問われる機会となるのはむしろ、その3日後に組まれているドイツとの親善試合だろう。ここで不甲斐ない戦いしか見せられず一方的な敗北を喫することにでもなれば、「指揮官には予選と本大会を戦い抜くに相応しい力量と適性があるのか」という議論になることは避けられない。
 
 はたしてヴェントゥーラ監督は、1か月後の代表招集に向けてどんな解決策を練っているのだろうか。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。
 
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