【徹底分析】弱小マケドニアにも大苦戦…アッズーリ新監督の戦術は時代遅れ?

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2016年10月14日

内容的には1-1よりは2-0のほうがずっと相応しい試合だった。

ペッレ(9番)は前線で孤立し、得意のポストワークがまったく決まらず。60分にベンチに下げられるとヴェントゥーラ監督との握手を拒否し、それが原因でチームから追放された。写真:Alberto LINGRIA

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 ヴェントゥーラ監督もさすがにこれではまずいと考えたのか、後半に入るとチームの重心をやや上げて攻撃的に振る舞うよう修正を施した。
 
 しかし、最終ラインを押し上げた途端にチームは攻守のバランスを崩し、55分にはDF陣の連係ミスからビトーロに裏を取られて、GKジャンルイジ・ブッフォンと1対1の状況を作り出されてしまう。そこにタイミング良く飛び出したブッフォンが、クリアを空振りするという「10年に一度」のミスを犯して、先制ゴールを許す結果となった。
 
 さらにその10分後にもまったく同じ形からビトーロが裏に抜け出したが、これはシュートが枠を外れて命拾い。もしこれが決まっていれば、万事休すだったことは間違いない。
 
 0-1となった後は、スペインがやや重心を下げて試合をコントロールしにきたこともあり、イタリアが攻勢に出る場面も散見された。
 
 しかし、プレッシャーの少ない自陣でボールを回す3バック+アンカーの「後ろ4人」とそれ以外の「前6人」が分断されて間延びした陣形になっているため(イタリアのシステムは3-5-2)、中盤を省略して前線に不正確なロングボールを送り込む以外の攻め手がない。さらに、その縦パスが収まる頻度も、セカンドボールを拾って二次攻撃に転じる頻度も低く、危険な場面はほとんど作れないままだった。
 
 残り10分を切ったところで、たまたま拾ったセカンドボールからの展開でセルヒオ・ラモスのファウルを誘ってPKを獲得し、これをダニエレ・デ・ロッシが決めたため、1-1の引き分けという最低ラインの結果を確保したものの、内容的には1-1よりは2-0のほうがずっと相応しい試合だった。
 
 内容はともかくスペインにホームで敗れるという最悪の結果だけは回避したことで、とりあえず一息を付いたのも束の間、3日後に敵地で開催されたマケドニア戦は、スペイン戦でも見えていたチームの戦術的な問題点があからさまに露呈する試合となった。
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