自主練にハマっていたら俺は止められたくない。一番伸びている瞬間だから。
――中学卒業後は、横浜マリノスのジュニアユースからユースに昇格できず、桐光学園高に進学しました。
ボール磨きとかライン引きとかは初めての経験だったよね。ジュニアユースではなかった上下関係が部活にはある。正直に言えば、最初は選択を間違えたと後悔しそうになったけど、先輩の小林さん(稔/現・磐田コーチ)を見て考えが変わった。
桐光は朝練がないのに、小林さんは自主的に朝早く練習に来て、筋トレとかをやっている。キャプテンで、関東選抜に選ばれるほどの実力者でもここまでやるんだと、その背中を見て、自分ももっともっと練習しなければならないと思った。
――ただ、高校の部活の1年は思うように練習できないのでは?
ボール拾いとかね。一緒に練習をさせてもらえないから、そうなると、始業前の朝と、放課後の練習が終わった後の自主練しかない。その時にどれだけ自分を磨くか。ある意味、そこが原点でもあるかな。
まずは、自分に何が足りないかを客観的に見る。まだ当時は身体も小さくて、それでもボールを取られないようにするにはどうすればいいかを考えて、ならば相手の逆を突こう、と。それでひとつ上の先輩と、1対1ばっかりやっていた。あとは、ひと回り小さいリフティングボールを使って技術を高めたりとか。
高2になったら、だんだん背も伸びてきて、3年生に対しても思うようにプレーできるようになった。そうしたら国体に選ばれ、関東選抜に入り、1回戦で負けたけど選手権にも出場して、高校選抜に選出された。高3ではU-19代表に選ばれたりと、一気に階段を上っていった。自分でも驚くほどだったけど、その時の成功体験があるから、こういう時はこうすればいいんだ、試合に出られないからこそ伸びるチャンスなんだって、成長するためのコツが分かったのは大きかった。
――自分で練習できる環境を作り出し、課題をいかに克服するかを考え、トレーニングに打ち込む。そういう自主練が原点だ、と。
落合さん(博満/元プロ野球選手)の本にも書いてあったけど、自主練に集中して、ハマっている選手を止めてはいけないって。それは俺も思う。止められたくないし、そこが一番、伸びている瞬間だから。自分の感覚を養う時間だよね。
――感覚、ですか?
一瞬一瞬での判断が求められるサッカーでは、感覚が本当に重要になってくる。あるシチュエーションを想定したパターン練習ももちろん必要だけど、味方がこう動いているからあそこを狙って蹴りましょう、だけではなく、蹴った瞬間の感覚や、顔を上げるまでの時間の感覚とかを研ぎ澄ませたい。自分だけの感覚を磨く。それは忘れないでいてほしい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
ボール磨きとかライン引きとかは初めての経験だったよね。ジュニアユースではなかった上下関係が部活にはある。正直に言えば、最初は選択を間違えたと後悔しそうになったけど、先輩の小林さん(稔/現・磐田コーチ)を見て考えが変わった。
桐光は朝練がないのに、小林さんは自主的に朝早く練習に来て、筋トレとかをやっている。キャプテンで、関東選抜に選ばれるほどの実力者でもここまでやるんだと、その背中を見て、自分ももっともっと練習しなければならないと思った。
――ただ、高校の部活の1年は思うように練習できないのでは?
ボール拾いとかね。一緒に練習をさせてもらえないから、そうなると、始業前の朝と、放課後の練習が終わった後の自主練しかない。その時にどれだけ自分を磨くか。ある意味、そこが原点でもあるかな。
まずは、自分に何が足りないかを客観的に見る。まだ当時は身体も小さくて、それでもボールを取られないようにするにはどうすればいいかを考えて、ならば相手の逆を突こう、と。それでひとつ上の先輩と、1対1ばっかりやっていた。あとは、ひと回り小さいリフティングボールを使って技術を高めたりとか。
高2になったら、だんだん背も伸びてきて、3年生に対しても思うようにプレーできるようになった。そうしたら国体に選ばれ、関東選抜に入り、1回戦で負けたけど選手権にも出場して、高校選抜に選出された。高3ではU-19代表に選ばれたりと、一気に階段を上っていった。自分でも驚くほどだったけど、その時の成功体験があるから、こういう時はこうすればいいんだ、試合に出られないからこそ伸びるチャンスなんだって、成長するためのコツが分かったのは大きかった。
――自分で練習できる環境を作り出し、課題をいかに克服するかを考え、トレーニングに打ち込む。そういう自主練が原点だ、と。
落合さん(博満/元プロ野球選手)の本にも書いてあったけど、自主練に集中して、ハマっている選手を止めてはいけないって。それは俺も思う。止められたくないし、そこが一番、伸びている瞬間だから。自分の感覚を養う時間だよね。
――感覚、ですか?
一瞬一瞬での判断が求められるサッカーでは、感覚が本当に重要になってくる。あるシチュエーションを想定したパターン練習ももちろん必要だけど、味方がこう動いているからあそこを狙って蹴りましょう、だけではなく、蹴った瞬間の感覚や、顔を上げるまでの時間の感覚とかを研ぎ澄ませたい。自分だけの感覚を磨く。それは忘れないでいてほしい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

8月10日発売号のサッカーダイジェストは、「プロフットボーラ―の育て方」を特集。自分の子どもをプロフットボーラ―に育てるなら、どんなルートがあり、どれだけの費用が必要で、またキャラクター(性格)によって育成法は異なるのか。そうした疑問にお答えする特集になっています。インタビューは、中村俊輔選手と和泉竜司選手。さらに中村憲剛選手、大谷秀和選手が子育て論も掲載。クラブダイジェストはガンバ大阪です。