ジーコが伝えた『シュートはゴールにパスするように』という言葉の意図。
――自身が考えるプロの定義は?
お金を払って見に来てくれるお客さんを喜ばせる。それはよく言われていることだと思うけど、さらにその先を行くプレーができるかどうか。良いパフォーマンスでスタンドにいる人たちを喜ばせたり、楽しませるのは当たり前だから。
――具体的に言うと?
例えば、メッシを生で見たいがために、100万でも1000万でも出す人がいて、その金額が選手の価値になるかもしれない。ただ、そういう次元の話ではなくて、金額はまったく関係なく、純粋にこの選手を見に行きたいと思ってもらえるかどうか。そういう選手になりたい。
――プライスレスな選手。
泥臭いヘディングのクリアでも、身体を張ったスライディングでもいい。なんていうのかな、見ている人の感情を揺さぶるようなプレーヤーが、今は少ないように感じる。大事なことではあるだろうけど、戦術とか、勝ち負けにこだわり過ぎているんじゃないかな。
――エモーショナルなプレーでお客さんのハートを刺激できるかどうか。
簡単に言えば、“熱い”プレー。ただ、そればかりだと、『なんかあいつ、熱いだけだな』とネガティブに評価しがちなのが、日本の風潮だったりもする。『パス回しが弱いんだよなぁ』とか、ウイークポイントをまず見つけようとする傾向も強い。サイズの大きなFWには、『ヘディングは強いけど、足が遅いし、ポストプレーもいまひとつ』となる。これがブラジルなら、『ヘディング、いいね! 最高だよ!』と長所を褒めちぎったりする。
――大きな違いですね。
岡田(武史/元横浜監督)さんも選手を乗せるのが上手かった。ボンバー(中澤佑二)に対しても、持ち味のヘディングや思い切り飛ばすクリアをどんどんやれ、と。そうするとボンバーも段々ノッてきて、練習でも見せたことのないボール捌きを試合で見せたりする。
――欠点を修正するのではなく、長所を磨く育て方が、オンリーワンの選手を生み出すのでしょうか?
でも、それも人によるかもしれない。指導者の話をすれば、良い選手を見てきた監督の言うことって、面白い。ただ、そのニュアンスの受け止め方が大事だと思う。
ジーコの『シュートはゴールにパスするように』という言葉を、“シュートは正確に、丁寧に”と理解している人が多いけど、ジーコが伝えたかったのは違う気がする。“強いシュートでも、パスと同じくらい正確に打て”というのが俺の解釈。だって、ジーコはめちゃくちゃ強いシュートを打っていたからね。どんな難しいボールが来ても、パスをする時のようにリラックスして、正確なシュートを打てるようになれってことなんじゃないかな
――選手が成長するうえで、監督との相性は重要ですよね?
セルティック時代のストラカンも面白い監督だった。ある試合で、新しい選手を使うために、俺がスタメンを外されたことがあった。危機感を持ちつつも、ベンチで不満げな表情こそ見せなかったけど、空元気を出してチームを盛り上げようともしていなかった。
それで残り10分ぐらいになって、ストラカンが俺のところに来て、『ナカ、出たいか?』と聞いてきた。『なにを不満げにしているんだ』とは言わない。スコアはすでに7-0だったけど、俺は『出たい』と志願して、アグレッシブにプレーした。そうしたら、すぐスタメンに戻れた。
だから、そこはストラカンも人を見ているんだよね。あの時、ふてくされた態度を取っていたらどうなっていたか分からないけど、結果的に俺は良い方向に進めたわけで、今振り返れば、そういう監督の手腕はさすがだなと思う。
お金を払って見に来てくれるお客さんを喜ばせる。それはよく言われていることだと思うけど、さらにその先を行くプレーができるかどうか。良いパフォーマンスでスタンドにいる人たちを喜ばせたり、楽しませるのは当たり前だから。
――具体的に言うと?
例えば、メッシを生で見たいがために、100万でも1000万でも出す人がいて、その金額が選手の価値になるかもしれない。ただ、そういう次元の話ではなくて、金額はまったく関係なく、純粋にこの選手を見に行きたいと思ってもらえるかどうか。そういう選手になりたい。
――プライスレスな選手。
泥臭いヘディングのクリアでも、身体を張ったスライディングでもいい。なんていうのかな、見ている人の感情を揺さぶるようなプレーヤーが、今は少ないように感じる。大事なことではあるだろうけど、戦術とか、勝ち負けにこだわり過ぎているんじゃないかな。
――エモーショナルなプレーでお客さんのハートを刺激できるかどうか。
簡単に言えば、“熱い”プレー。ただ、そればかりだと、『なんかあいつ、熱いだけだな』とネガティブに評価しがちなのが、日本の風潮だったりもする。『パス回しが弱いんだよなぁ』とか、ウイークポイントをまず見つけようとする傾向も強い。サイズの大きなFWには、『ヘディングは強いけど、足が遅いし、ポストプレーもいまひとつ』となる。これがブラジルなら、『ヘディング、いいね! 最高だよ!』と長所を褒めちぎったりする。
――大きな違いですね。
岡田(武史/元横浜監督)さんも選手を乗せるのが上手かった。ボンバー(中澤佑二)に対しても、持ち味のヘディングや思い切り飛ばすクリアをどんどんやれ、と。そうするとボンバーも段々ノッてきて、練習でも見せたことのないボール捌きを試合で見せたりする。
――欠点を修正するのではなく、長所を磨く育て方が、オンリーワンの選手を生み出すのでしょうか?
でも、それも人によるかもしれない。指導者の話をすれば、良い選手を見てきた監督の言うことって、面白い。ただ、そのニュアンスの受け止め方が大事だと思う。
ジーコの『シュートはゴールにパスするように』という言葉を、“シュートは正確に、丁寧に”と理解している人が多いけど、ジーコが伝えたかったのは違う気がする。“強いシュートでも、パスと同じくらい正確に打て”というのが俺の解釈。だって、ジーコはめちゃくちゃ強いシュートを打っていたからね。どんな難しいボールが来ても、パスをする時のようにリラックスして、正確なシュートを打てるようになれってことなんじゃないかな
――選手が成長するうえで、監督との相性は重要ですよね?
セルティック時代のストラカンも面白い監督だった。ある試合で、新しい選手を使うために、俺がスタメンを外されたことがあった。危機感を持ちつつも、ベンチで不満げな表情こそ見せなかったけど、空元気を出してチームを盛り上げようともしていなかった。
それで残り10分ぐらいになって、ストラカンが俺のところに来て、『ナカ、出たいか?』と聞いてきた。『なにを不満げにしているんだ』とは言わない。スコアはすでに7-0だったけど、俺は『出たい』と志願して、アグレッシブにプレーした。そうしたら、すぐスタメンに戻れた。
だから、そこはストラカンも人を見ているんだよね。あの時、ふてくされた態度を取っていたらどうなっていたか分からないけど、結果的に俺は良い方向に進めたわけで、今振り返れば、そういう監督の手腕はさすがだなと思う。