• トップ
  • ニュース一覧
  • 【「2007年」の中村憲剛】日本代表、ACL、ナビスコ杯決勝――。激動の1年が、末っ子気質の青年を大人に成長させた

【「2007年」の中村憲剛】日本代表、ACL、ナビスコ杯決勝――。激動の1年が、末っ子気質の青年を大人に成長させた

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2016年04月29日

G大阪に敗れたナビスコ杯決勝。「あれから9年、うちはいまだにノンタイトルだから…」

ナビスコカップ決勝でG大阪に敗れ、うなだれる中村。悲願の初タイトルは、あと一歩のところで手から滑り落ちた。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 実は中村は、セパハンとの第1戦の1週間前に日本代表のオーストリア遠征から帰国したばかりだった。わずか1週間でオーストリア→日本→イラン→日本とフライトを繰り返し、移動距離は赤道1周分の9割に達していたのだ。
 
 0―0のまま突入した延長前半に足が攣った中村は95分にピッチを退き、PK戦の末にチームが敗れる様子をベンチの前で見届けることになる。
 
「第1戦でも足が攣って途中交代しているんです。今思えば情けないけど、当時の自分には限界だった。ただ、これを経験したから、その後どんな過密日程にも対応できるようになったと思う」
 
 そう振り返ると、「だんだん思い出してきた! 悔しいな、これ、絶対に勝てたよ」と、改めて悔しさを覗かせた。
 
 ACL制覇の夢がベスト8で潰えた川崎は、2000年以来の決勝進出となったナビスコカップに照準を切り替える。11月3日、国立競技場で行なわれたG大阪との決勝は、どちらに勝利が転がってもおかしくない展開だった。
 
「ガンバはヤットさん、フタ(二川孝広)、ハシさん(橋本英郎)、ミョウさん(明神智和)と、サッカーを分かっている人たちばかりで、戦っていてとにかく楽しかった記憶がある」
 
 前半にジュニーニョと寺田周平が迎えた決定機をモノにしていれば、川崎が勝っていたに違いない。だが55分、一瞬の隙が命取りになる。安田理大に決められ、これが決勝点となった。
 
「ガンバはこれが2個目のタイトルですよね。あれから9年、うちはいまだにノンタイトルだから、ずいぶん差がついてしまったな……。覚悟が足りなかったのか、なんなのか……」
 
 ナビスコカップ獲得を逃した13日後、さらなるショックが中村を襲う。日本代表監督のオシムが脳梗塞で倒れ、病院に搬送されたのである。
 
 ひと月前の10月17日、この年最後の親善試合となるエジプト戦が行なわれた。4―1で快勝したあと、サポーターに挨拶しながら「来年もすげえ楽しみだな」との想いを中村は噛みしめていた。「こうやって強くなっていくんだ」という道筋がくっきりと見えたからだった。
 
 ところが、オシムの退任が決まり、中村にとっての日本代表の第一幕は、突然すとんと幕が下りてしまうのだ。

「もうオシムさんと一緒にサッカーができないのかって思ったら、ものすごく悲しかった。俺はオシムさんに抜擢してもらったわけだから、俺がダメならオシムさんの見る目が疑われてしまう。オシムさんの期待は裏切れない。それが当時のプライドだったんです」
 
【関連記事】
Jで輝く『バンディエラ』。中村憲剛や中村俊輔、小笠原満男らが生み出す美徳と別格のスリリング
【中村憲剛の欧州サッカー観戦記】バルサを“ハメた”アトレティコの守備戦術に脱帽! CLベスト4はペップとシメオネの勝負師対決に要注目だ
【プレミア現地コラム】レスターのラニエリ監督が涙? バックアッパーが誇示したチームスピリット
【広島スタジアム問題】拝啓 “広島人”。なぜ、旧市民球場跡地にスタジアムを造ってはいけないのですか
ある天才少年の今――幼稚園時から名波浩にも似た才気を放ったレフティが、荒波を乗り越えて見据える場所

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ