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涙なしでは語れない川崎の恩師や仲間たちとの別れ。山根視来が気持ちを書き綴ったメモ帳とMLSへの想い【インタビュー/パート3】

カテゴリ:海外日本人

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年03月29日

山根が感じたMLSの魅力とは

チームメイトの吉田麻也らと語っているのはMLSの魅力。日本人選手にも合っているという。写真:本人提供

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 リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバらを率いるインテル・マイアミとの開幕戦のピッチには、背番号2の姿があった。そこから山根は5試合連続でフル出場を果たしている。

 チームも元バルセロナのMFリキ・プッチらを軸に2勝3分とまずまの成績を残している。それでも自らに厳しい男だ。求めるのはさらなる高みなのだろう。

「ここで活躍できれば、フロンターレの時とまた違う選手に、バージョンアップできると信じています。すごく楽しみですし、ひとりの選手として試されている。いろんなタイプの対戦相手に、様々な守り方ができるようになりたいです。プラス人間として、いろんな国籍の人たちがいるなかで、学んでいきたい。人間としての“深み”を持てるようになりたいですね」
 
 そしてもうひとつ、伝えたいメッセージも生まれた。

「僕が言いたいのは、自分のことではなく、MLSというリーグに対して、より関心を持ってもらえればということですね。それは見てくれる人たちもそうですし、現役の選手たちには特にこのリーグでプレーをする選択肢を頭の片隅に入れておいてほしいなと思います。

 Jリーグでも、欧州移籍が当たり前になってきた今、“いかに早く行けるか”がポイントになっていると感じます。ただ、高卒3、4年目にJリーグで活躍し、23、24歳で欧州に渡る形では、遅いと言われる時代になってきているのかもしれません。そのなかで、ワンステップ、MLSを挟むというのもありなんじゃないかなと、個人的には考えています。

 日本人選手のクオリティの高さはこっちに来ても感じます。技術力が高く、いろんなことができる。MLSでは重宝されるはずですし、英語圏で言語も学べますし、本当に多くの国籍の選手がプレーをしているからこそ、様々な文化を知ることができる。

 クラブの環境も整っているからこそ、実力も発揮しやすいはず。そういう面でも海外での第一歩目としてもすごく良いリーグなのかなと。現にMLSから欧州に行く選手も多いですし、欧州からはJリーグより注目されているようにも感じます。だからこそ若い選手にとってはありなのかなと。

 サラリーキャップ制度(年俸総額の上限制度)があるなかで、各クラブはできるだけ金額を抑えながら良い選手を獲ろうとしていて、そうした基準に日本の選手はマッチしているはずです。そうやって道が増えれば、日本人選手の可能性は改めて広がるのかなと。

 だからこそ麻也くんとも、僕らがMLSの良さを伝えていこうという話をしているんです。あまり言いすぎると日本のサポーターの方たちに怒られちゃいますが(苦笑)、日本サッカーの発展のためにも、考えていくべきなのかなと」

 そのなかで30歳となった自身は代表復帰や、欧州へのステップアップという野望を抱いていないのか。そんなこちらの意図はやんわり否定する。

「サッカー選手である以上、日本代表は常に意識するものです。僕の頭のなかにも、もちろん入っています。でも今はそこを明確な目標にしているわけではなく、まずは目の前のこと。まだここで何も成し遂げていないですから。それに僕の場合、先ばかりを目指しても良いことはないんですよ。計画通りにいつもいかないので(笑)。一歩一歩。目の前のことに全力を傾ける。そこですね」

 それこそが山根視来の生きる道。川崎で称賛され続けた姿勢なのだろう。

 インタビューの数日後、山根のもとには川崎のサポーターたちから数多くのメッセージが寄せられた等身大のタペストリーが届いた。背中を押してくれる人たちがこんなにもいる。異国の地で彼はこれからもピッチを走り続け、闘い続けるはずである。

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■プロフィール
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178㌢・72㌔。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―湘南―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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