南葛SCは2020、2021と2年連続で昇格を果たしたが、その間はコロナ禍により、サポーターが現地に来られたのは数えるほどしかない。喜びを分かち合えるサポーターに対しても、岩本GMは尽力している。
「ここからJリーグ入りまでは茨の道かもしれません。ひとつ昇格するのに何年もかかるかもしれない。もちろん1年での昇格を目指しますが、そんな簡単なことではないですから。でも、もしチームが苦しむことがあっても、Jリーグまでの道というのは今でしか味わえないのでストーリーを楽しんでもらえればと思います。コロナ禍で応援に来られないぶん、トークンプラットフォーム『FiNANCiE(フィナンシェ)』を立ち上げるなどして新たなファンクラブの形も模索しています。今回、稲本潤一の報酬の一部がFiNANCiEで支払われることが話題になりましたが、それも含めてサポーターに楽しんでいただければ。それと、2021シーズンは初めて『レビューブック』も作成しました。このカテゴリとしては、異例のことだと思います。こういった施策を含めて、南葛SCの新しいチャレンジをこれからも見守ってください」
とかくその仕事ぶりが注目されるが、責任を背負う日々の中、少しでもそこから解放される日はないのだろうか。前日まで獲得交渉をしながら迎えた昨年末の関東リーグ1部昇格を懸けた入替戦は、次のように冷静に振り返る。
「実際勝った瞬間の喜びは2020年の関東リーグ2部昇格を決めた時の方がありました。ただ、実戦から2か月も空いて、しかもワンマッチ勝負という不安があったので、ホッと安堵したという意味ではこれまでで一番でした」
しかし、昇格を決めてもコロナ禍によりみんなで祝勝会とはいかない中、帰宅して家で一人お酒を飲んでいる時に、達成感がじわじわと湧いてきたという。
「スコアでは大勝でしたが、試合内容は紙一重でしたから。入替戦からしばらくは毎朝起きた時に佐々木竜太に感謝してましたね。前半に2点取ってくれてありがとうって(笑)」
岩本GMの心の中にある感情が、少しだけ見えた気がした。
※このシリーズ了
取材・文●伊藤 亮
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