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【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「ミラン崩壊の元凶(?)インザーギを徹底検証」

カテゴリ:ワールド

マルコ・パソット

2015年06月03日

悪いプレーをした選手すら過剰に擁護し…ついには四面楚歌に。

後任監督の本命とされていたアンチェロッティは1年の休養を宣言。今は、シニシャ・ミハイロビッチ(写真)、ウナイ・エメリといったところが有力候補とされている。誰になるにせよ、ミランの救世主となりうるか注目だ。 (C) Getty Images

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 またインザーギが、いくつかの試合であまりに慎重な戦術を採ってしまったことも裏目に出た。ミランが格下のチーム相手に、まるでプロビンチャのチームのように守るのを見て、ベルルスコーニ・オーナーが怒って途中でテレビを消してしまったことは、一度や二度ではなかった。
 
 そして、ミランのなかでは最も質の高い選手が揃っていた攻撃陣をうまく使いこなせなかったことも、インザーギ体制の大きな問題だった。
 
 特にCFの起用法については疑問に思えることが数多く、フェルナンド・トーレスはチームを出ていくことを選び、ジャンパオロ・パッツィーニとマッティア・デストロは真価を発揮することができなかった。インザーギ自身が、選手時代にはこのポジションでゴールを量産していたというのに……。
 
 そうそう、言い忘れていたが、ミランの失敗の原因はチームと監督だけでなく、もちろん選手たちにもある。彼らが持てる力を、試合で全て発揮することはほとんどなかった。
 
 それなのに、インザーギは過保護と言っていいほど彼らを擁護してきた。怪我人が多かったから、運がなかったから……様々な理由をつけては、彼らのミスを正当化してきた。我々記者の共通な意見として、それは大きな過ちだった。
 
 一度ピッチに立てば、選手は自らのプレーに責任を持たなければならない。そして指揮官も、もし選手が悪いプレーをしたならば、率直に悪かったと言うべきだ。それを、いつでもどこでも、たとえひどい内容だったとしても擁護してしまえば、選手は勘違いし、もっと悪くなる可能性がある。ときには、全員が責任を感じることも重要なのだ。
 
 選手を非難しない代わりに、インザーギが非難したのはマスコミだった。そのせいで彼が発言するたび、ミランへの風当たりはより強くなるという負の循環ができ上がってしまった。
 
 そして自分たちを正当化するために、ついには他人の失敗をも言い訳にするようになってしまった。
 
 ミランだけじゃない、他のチームだって調子が悪いじゃないか。自分だけじゃない、他の監督だって失敗しているじゃないか――。
 
 しかし、それは間違いだ。上達するには、良い例を取り上げなければならない。他人の失敗を例にしているようでは、後ろ向きにしか進めないのも当然だろう。
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
 
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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