2014-15シーズンがついに幕を閉じた。ミランは最終戦を白星で飾ったが、それでも誰もがこう思ったことだろう。
 
　一体どうして、ミランはこうなってしまったのか……。
 
　これからその原因を追求していきたいと思うが、今回は特に監督であるフィリッポ・インザーギのことを語りたいと思う。本来この項の主役である本田圭佑からは離れてしまうが、良くも悪くもインザーギは今シーズンのミランの象徴だった。それに……きっと彼のことを書けるのもこれが最後のはずだ。
 
　少し前から、インザーギの周りには非現実的な空気が漂っていた。彼が口を開くたび、その濃さは増していく。ほぼ決まっている自分の運命を、“ピッポ”はどうやら認めたくないようだ。最終節のアタランタ戦で勝利した後も、その思いはマイクとテレビカメラの前で溢れ出た。
 
「今、ミランはついにサッカーをプレーできるようになった。つまり自分たちのプレースタイルを見つけたんだ」
 
「これでミランは、どんな相手とでも戦うことができる。チームにとっては喜ばしいことだろう。こうした良いチームをベースとして何人かの重要な補強をすれば、ミランはトップに返り咲ける」
 
「僕の将来？　ミランとの契約はまだ残っている。すぐに、来シーズンに向けての準備を始めるよ」
 
　この発言（特に最後の）は、あまりにも現実離れしていないだろうか？　全ての目標を達成できず、29年間のシルビオ・ベルルスコーニ体制下のミランで最低の成績を残した監督の言葉とは到底思えない。
 
　すでにアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、どうにかしてカルロ・アンチェロッティに次期監督を引き受けてもらえないかとマドリードまで説得に出向いたし（後にアンチェロッティは１年間の休養を宣言）、ベルルスコーニ・オーナーは何度もインザーギを非難している。最新のコメントなどはこうだ。
 
「我々は、とても強いチームを持っている。しかし、それに見合うレベルのプレーをもたらすことができなかった」
 
　つまり、諸悪の根源は全て監督の力不足にあると言っているのだ。
 
　もっとも、ベルルスコーニは昨年10月まで、ピッポに10点中８点の高評価を与えていた。それが今、これまで一度も彼の力を認めたことなどなかったと言わんばかりに、公然と非難するのはどうかとは思うが……。