選手が下した結論は「インザーギはひとりでは何もできない」

本田を信頼し続けたインザーギ。これは本心だろう。本田も指揮官の信頼に応えようと、黙々と努力を続けた。ただ、インザーギの監督の資質に対して本田が本当のところ、どう思っていたのかは不明だ。 (C) Getty Images
クラレンス・セードルフに続き、インザーギもまた、ベルルスコーニにとって大きな失望となったことたろう。しかし、ミラン崩壊の第一歩はここから始まっている。
セードルフで手痛い失敗をしておきながらも、なぜミランは、またしても経験の浅いインザーギに監督をさせたのか? 失敗することは、誰の目にも明らかだったというのに……。
おまけに、彼らとの契約はまだ2016年の6月まで残っているので、それまでミランは2人分の給料も支払わねばならない。かつてのような豊富な資金を持たないクラブにとって、大きな重荷となることは必至だ。
さて、いよいよ本題だ。もちろん、インザーギにも罪はある。しかし、クラブとしてのプロジェクト自身が破綻している場合、決してひとりの人間だけに責任を押しつけることはできない。
実力が未知数の新米監督に二度も賭け、金がないからと、3年連続してチームを移籍金ゼロやレンタルの選手で作ってしまった、チームとしての失敗だ。ミランの惨状は、何よりもこの2つの要因によって起きたものだと私は思う。
インザーギは確かに経験不足だったが、チーム幹部が再三主張してきたように、本当に3位につける実力のある選手が集まっていたなら、指揮官の経験のなさなど、それほどクローズアップされることはなかったはずだ。
それに、インザーギにも良かった点は少なからずあった。疲れを知らないハードワーカーで、仕事のためにはどんな苦労も厭わない。24時間365日、どうしたら良いサッカーをできるかという思いで、頭のなかは常にいっぱいだった(その姿勢を選手にも求めたが……もしそうなれば、彼がこれほど苦労することはなかっただろう)。
選手時代と変わらず、敵のサッカーを細部まで研究し、弱点を見出して最善の策を錬る――。つまりインザーギとは、基本的なところはまったくもって素晴らしい監督なのだ。
しかし残念ながら、セリエAで戦うにはそれだけではダメだった。おそらくプリマベーラ(ユースチーム)やセリエBならばそれで良いのだろうが、セリエAを戦い抜く(勝ち抜く)には、それ以外にも、経験に基づく緻密な準備が必要なのだ。
残念ながら、インザーギにはその経験がなかった。そこで長いシーズンの間、彼はずっとスタッフの意見を聞き、それを採り入れてきた。それも悪いことではない。ただ、その度が過ぎていたと感じた者は少なくなかった。選手から見れば、第三者の意見を採り入れて間違えるくらいなら、最初から監督が自分の頭で考えればいいと考えるものだ。
結局、選手たちがたどり着いたのは、インザーギには「ここぞという場面での判断力がない」「ひとりでは何もできない」という結論だった。そんな監督には、誰もついてはいかないだろう。
セードルフで手痛い失敗をしておきながらも、なぜミランは、またしても経験の浅いインザーギに監督をさせたのか? 失敗することは、誰の目にも明らかだったというのに……。
おまけに、彼らとの契約はまだ2016年の6月まで残っているので、それまでミランは2人分の給料も支払わねばならない。かつてのような豊富な資金を持たないクラブにとって、大きな重荷となることは必至だ。
さて、いよいよ本題だ。もちろん、インザーギにも罪はある。しかし、クラブとしてのプロジェクト自身が破綻している場合、決してひとりの人間だけに責任を押しつけることはできない。
実力が未知数の新米監督に二度も賭け、金がないからと、3年連続してチームを移籍金ゼロやレンタルの選手で作ってしまった、チームとしての失敗だ。ミランの惨状は、何よりもこの2つの要因によって起きたものだと私は思う。
インザーギは確かに経験不足だったが、チーム幹部が再三主張してきたように、本当に3位につける実力のある選手が集まっていたなら、指揮官の経験のなさなど、それほどクローズアップされることはなかったはずだ。
それに、インザーギにも良かった点は少なからずあった。疲れを知らないハードワーカーで、仕事のためにはどんな苦労も厭わない。24時間365日、どうしたら良いサッカーをできるかという思いで、頭のなかは常にいっぱいだった(その姿勢を選手にも求めたが……もしそうなれば、彼がこれほど苦労することはなかっただろう)。
選手時代と変わらず、敵のサッカーを細部まで研究し、弱点を見出して最善の策を錬る――。つまりインザーギとは、基本的なところはまったくもって素晴らしい監督なのだ。
しかし残念ながら、セリエAで戦うにはそれだけではダメだった。おそらくプリマベーラ(ユースチーム)やセリエBならばそれで良いのだろうが、セリエAを戦い抜く(勝ち抜く)には、それ以外にも、経験に基づく緻密な準備が必要なのだ。
残念ながら、インザーギにはその経験がなかった。そこで長いシーズンの間、彼はずっとスタッフの意見を聞き、それを採り入れてきた。それも悪いことではない。ただ、その度が過ぎていたと感じた者は少なくなかった。選手から見れば、第三者の意見を採り入れて間違えるくらいなら、最初から監督が自分の頭で考えればいいと考えるものだ。
結局、選手たちがたどり着いたのは、インザーギには「ここぞという場面での判断力がない」「ひとりでは何もできない」という結論だった。そんな監督には、誰もついてはいかないだろう。