【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「右サイド――本田を輝かせた一方でミランを混乱に陥れたもの」

カテゴリ:メガクラブ

マルコ・パソット

2015年05月20日

ミランは推進力となった最大の武器をわずか2か月で失った…。

自分を追い越していく選手へのパス出しが非常に上手い本田。アバーテはその長所を最も活かせる存在だった。しかし、彼に代わる選手がおらず、また本田自身もポジションを変えられたりするなど、混乱の犠牲になった感が強い。 (C) Getty Images

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 混乱――サッスオーロ戦でミランに黒星をもたらしたものの正体はそれだ。
 
 この言葉とともに、試合の様々な場面がフラッシュのように頭をよぎる。
 
 イエローカードを出され、審判の面前で怒りを爆発させるジャコモ・ボナベントゥーラ。相手にスローイングボールを渡さず、空に蹴り上げて警告を受けるステファン・エル・シャーラウィ、後半ロスタイムに危険なタックルで一発退場となるスソ、抗議のために遠征を取りやめるウルトラス……。
 
 そして、忍耐と礼節のお手本のような本田圭佑までもが、交代時に不満の色を隠さなかった。
 
 この敗戦により、ミランは2シーズン連続で欧州の舞台に登れないことが確定した。
 
 混乱は、試合後の記者会見でも感じられた。監督の“ピッポ”インザーギは、なぜ最終的に彼のチームが9人になってしまったのか、なぜ前半のシュートがたった1本だったのかを説明する代わりに、審判のミスジャッジばかりを非難したのだ。
 
 インザーギはこれまでも、いろいろな口実をつけてはミランが抱える問題を押し隠そうとしてきた。怪我人が多いから、運がなかったから、そして審判のジャッジが的確ではなかったから……等々。
 
 もう、こうした混乱は終わらせなければならない。指揮官が下してきた多くの決定を、「実は自分は支持していなかった」とシルビオ・ベルルスコーニ・オーナーは語り、このとんでもないシーズンに、インザーギ監督辞任というかたちでカタをつけようとしている。後任監督が誰であるかは、まだ不明だ。
 
 そんな、何もかも機能していなかった今シーズンのミラン。しかし、ただひとつだけ例外がある。それは右サイドだ。開幕から10月まで、右サイドはミランの原動力であり、大きなサプライズでもあった。
 
 皆さんは憶えているだろうか? 「SBイグナツィオ・アバーテ―FW本田」は完璧なサイドラインだった。その動きはシンクロナイズドスイミングのように息がぴったりで、互を補い合っていた。
 
 アバーテがポジションを離れて上がると、本田は彼にスペースを空ける。もしくは走りながら、ボールを出す。彼らは、ごく自然にそんなプレーができていた――息が合わず喧嘩ばかりしているアレッシオ・チェルチとは大違いだ――。
 
 右サイドの息の合ったプレーは、ミラン最大の武器だった。しかし残念ながら、この武器は2か月しかもたず、そのあと二度と取り戻すことはできなかった。
 
 まず、アバーテが足の付け根の肉離れを起こして6試合欠場、その後は太ももに問題で5試合の欠場を余儀なくされる。本田もアジアカップのために戦列を離れ、復帰後はフィジカルコンディションが悪化。インザーギ監督の戦術的選択でベンチに座ることも多くなった。
 
 こうして、右サイドのコンビはいつの間にか消滅し、本田のゴールは10月19日のヴェローナ戦で止まってしまった。

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