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【安永聡太郎】久保建英がビジャレアルで求められる役割は?「過去の日本人が経験したことのない…」

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年08月23日

久保の「地頭の良さ」をクラブも気に入っている

ビジャレアルの新監督に就任したエメリ。セビージャ時代にはEL3連覇を成し遂げた戦術家だ。(C) Getty Images

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 今の育成のモットーは「限界突破」らしい。

 要は、何でもできる子に正しいポジションで待つ指導をしても、試合の中でそれが意味をなさないのであれば「何でもやらせたらいいじゃん」と。それが通用しなかったときに正しいポジションを示してあげることで、常にその子が限界と向き合ってこれまで身につけてきたものにさらに正しい知識を付け加えてあげる。そうすることで、一つ上のレベルに引き上げてあげていく指導だよね。

 最初から正しいポジションを教えて「ここで待っていなさい」と言っていても、その子にとってその時期にその指導が正しいかどうかはわからない。だったら、できるならボールを受けに行って一人で3人剥がしてしまえ、と。剥がせなくなったときに知識を与えるし、剥がせる選手がそろったのならそのときに起こった現象を正しく説明して次のステージに引き上げる選択肢を与えるような指導をする。

 ビジャレアルは、そういう育成環境からこれまでにない形でタレントが生まれつつある。

 昨シーズンはパウ・トーレスという左利きのセンターバックが活躍した。ビジャレアルには珍しく、2部のマラガからのレンタルバックで活躍した選手。昨シーズンは序盤から試合に出場している。一昨シーズンに戻ってきたジェラールもエスパニョールでの試合出場があり、ビジャレアルでの今がある。この2人のようにこれまでなかった育成パターンで結果を出す選手も現われているし、着実にバージョンアップしている。

 監督も、14年当時は4-4-2や4-2-3-1を扱う人物しか選ばなかったけど、最近は4-3-3、ボックス型の4-4-2で戦っていたりもする。しかも、それを使いこなしている監督が内部昇格の育成上がりだったりする。エメリもシステムはいろいろ扱うよね。
 
 繰り返しになるけど、彼は勝負にこだわる戦術勝負師で、ビジャレアルぐらいのチームを指揮する監督としてはトップクラスだ。パリ・サンジェルマンのように選ぶ人によっては世界ベスト11に入るような選手、各国のトップを張るような選手が集まるクラブの指揮官としては力を発揮できなかったけど、実力ある監督であることに変わりはない。

 セビージャでELを3連覇した実績は本物!このクラスの選手たちの個性や特徴を器用に組み合わせて結果を出す手腕はピカイチだ。

 その上でビジャレアルはベースがある。それはジェラールがスペイン人得点王になれたことが象徴している。ゴールを決められる選手が輝ける状態を作り、リーグ5位になったのが証明してるよ。どれだけ良いフットボールをしても、ゴールが入らなければサッカーの流れは悪くなるからね。きちんと主役がいて、若手からベテランまで各々の選手が自らの特徴を発揮できる形を作れたことは大きい。

 イングランドのフルハムからレンタルしたアンギサとイボーラとカソルラで中盤のトライアングルを形成して、4-3-3のダブルボランチ型だったり1ピボ(アンカー)+2インテリオールだったり。4-4-2のフラットの場合はサイドに時間を作り出すことができるカソルラを左サイドに置いて、逆サイドにスピードのあるチュクウェゼを据えていた。

 ボールを握りながら最終的にどうアタックして、誰にボールを届けるか?

 そういうフットボールの作り方が丁寧で、選手の特徴がうまく噛み合っていた。カソルラの後方の左サイドバックには、若手のシャビ・キンティージャ(ノーリッジにレンタル移籍)と経験豊富なアルベルト・モレーノを併用し、逆サイドのチュクウェゼの後ろにはベテランのマリオ・ガスパールが守備のバランスをとりながらも攻撃にもうまく参加していた。

 そして、2センターバックはパウと元マドリーのアルビオルが組み、その後ろにGKのセルヒオ・アセンホがどっしり構える。チーム全体としての「絵づくり」で評価するとバランスが非常によかった。最終的に5位フィニッシュできた監督を代えてまでエメリを選んでいるからチャンピオンズ・リーグ出場権はもちろん、タイトルも本気で狙っているはずだ。

 バレンシアからパレホとコクランという主力のミッドフィルダーを獲得したから、エメリがその2人をどう扱いながら、元から在籍していた選手と融合させていくのかが楽しみ。ELの勝ち上がりにはよるけど、試合数が多いからローテーションして上手に戦うはずだ。

 久保はこんなチームでレギュラーを争い、メインキャストのグループに選ばれなければいけない。クラブが「地頭を鍛える育成をしている」ことに加え、エメリが久保を望んだことを考慮すると、大きな飛躍をさらに期待したいけどね。
 
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