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【安永聡太郎】久保建英がビジャレアルで求められる役割は?「過去の日本人が経験したことのない…」

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2020年08月23日

2014年に指導者研修に行った際、ビジャレアルがショックを受けていた調査結果とは?

19-20シーズンのスペイン人得点王になったジェラールもビジャレアルの下部組織出身だ。(C) Getty Images

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 ビジャレアルは、僕が2014年に指導者研修でおじゃまさせてもらったクラブ。ロッチ会長はフットボールが好きで、ビジャレアルに関わる子どもたちが好きだから、週末は可能な限り全カテゴリーのホームゲームを見ている。1日4~6試合もアカデミーのゲームを見た後に、トップの試合で締めることもよくある。それほど情熱のある人物で、理想的な会長像だと思う。

 トップにも、育成にも、お金は出せる範囲で出すしね。僕が知る限り、「育成での成功がなければクラブの未来はない」と信じて進む熱心なクラブだ。僕がスペインでプレーした1997-1998シーズンにロッチ会長が就任して一部昇格を決めたんだよね。就任1年目から結果を残している。

 その後、バルサで鳴かず飛ばずだったリケルメをとってきたり、アーセナルからピレスを連れてきたりして黄金期を築き、その頃から育成に少しずつ力を入れて目指す方向に進んできた。

 昔はチームの格も育成力も同じ州のライバルであるバレンシアのほうが上だったから、ビジャレアルが声をかけてもあっちを選んでいた。でも、寮を完備し、練習グラウンドを作り、きちんとハード面の投資もした。今はバレンシアといい勝負をしている。育成力でもバレンシア州のトップは「ビジャレアルなんじゃないの?」というくらいの流れができつつあると聞いている。
 
 人口5万人の町に2万5000人収容のスタジアムを作るくらいサッカーしかない熱い町だしね。もちろん町以外の人もスタジアムに集まるわけだけど、毎試合ほぼ満員になる人気クラブ。ロッチ会長が間違いなくクラブを町のシンボルにした。でも、小さくて人口が少ない町だから、才能のある選手を集めるには、周辺の町の地域クラブとも手を取り合う必要がある。

 だから、ビジャレアルはアカデミーに入れない第2、第3のグループにも目をかけている。ビジャレアルの2ndチーム、3rdチームみたいなクラブがいくつもあって、彼らとアカデミーが切磋琢磨できる環境づくりを行なっている。たとえば、チームにコーチを派遣して質の高い指導をしたり。名前は違うけど、地域全体でタレント育成を大切に考えている。

 毎週月曜日にコーチが集まって週末の試合のことを議論したりするのは日常茶飯事。他のカテゴリーの監督やコーチも視察しているしね。だから、ビジャレアルに関係する指導者は相当なプレッシャーの中でトレーニングを実施する。練習後も「今日はどうしてあのメニューをしたの?」という議論が普通に始まるくらいだから。育成指導者のストレスが半端ないらしく、指導者専用の2名のカウンセラーが常駐しているそうだ。

 僕が研修に行った頃は、トップが4-4-2、もしくは4-2-3-1だった。サイドハーフが内側に入ってサイドバックが高い位置をとって幅を作り、2センターバックとダブルボランチが丁寧にサリーダ・デ・バロン(直訳は「ボールの出口」。ビルドアップに似た言葉で、攻撃の始まりを表わすスペイン特有の表現)を行なう。

 この枠組みを全カテゴリーが実践していた。

 でも、ちょうどその頃、「ビジャレアルBやU-19まで入ったけど、鳴かず飛ばずに終わった選手のその後」を調査していた。きっと育成の方向性について疑問を感じていたからだろうね。調査の結果、消息を終えない選手が多すぎてクラブはショックを受けていた。

 当時のスペインのアカデミーの中で、バルサとビジャレアルだけが自分たちのクラブでの通用するスタイルで育成をしていた。ただ、それだと「昇格できなかった、また定着できなかった選手たちがフットボーラーとして未来がなかった」と判明した。そこで、ビジャレアルは数年かけて「良いフットボーラーを育成する」ための育成機関へシフトチェンジした。

 つまり、「地頭の良いフットボーラーを育成する」ことにしたんだ。
 
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