W杯出場を決めて喜ぶジーコと淡々とした選手の表情。無機質なスタジアムでコントラストがより鮮明に映った
02年ワールドカップ日韓大会でなぜ日本がベスト16まで進出できたのか。
トルシエは、日本代表監督に就任する際、日本の選手やマインドについて知らなかった。だが、日本を知り、日本人を学び、どんなチームを作れば日本代表にとって最善なのかを考えた。ワールドカップの時には23名中、4、5名は試合に出られない。それでもチームのために一生懸命にやれる選手を入れようと考えたトルシエは、中山雅史と秋田豊をメンバーに入れて、見事にチームをまとめてみせた。
ちなみに、その時のフランス代表が対照的で、スター選手ばかり集めた影響でチームが崩壊し、グループリーグ敗退を喫している。そうしてはいけないという見本を4年前にフランスは見せ、日本はこうあるべきという姿を見せた。
ジーコは、Jリーグ夜明け前に来日し、日本を誰よりもよく知る外国人だった。
だが、トルシエのように本質的なところまで理解できていただろうか。過去のワールドカップにおける強豪国の失敗例から、何かを学んできただろうか。チーム作りの手法や指導などを見ていると、どちらも否としか思えなかった。
トルシエは、日本代表監督に就任する際、日本の選手やマインドについて知らなかった。だが、日本を知り、日本人を学び、どんなチームを作れば日本代表にとって最善なのかを考えた。ワールドカップの時には23名中、4、5名は試合に出られない。それでもチームのために一生懸命にやれる選手を入れようと考えたトルシエは、中山雅史と秋田豊をメンバーに入れて、見事にチームをまとめてみせた。
ちなみに、その時のフランス代表が対照的で、スター選手ばかり集めた影響でチームが崩壊し、グループリーグ敗退を喫している。そうしてはいけないという見本を4年前にフランスは見せ、日本はこうあるべきという姿を見せた。
ジーコは、Jリーグ夜明け前に来日し、日本を誰よりもよく知る外国人だった。
だが、トルシエのように本質的なところまで理解できていただろうか。過去のワールドカップにおける強豪国の失敗例から、何かを学んできただろうか。チーム作りの手法や指導などを見ていると、どちらも否としか思えなかった。
何も言わない、何も動かない指揮官に選手は半ば失望していた。
本大会では「ジーコを男にしよう」「チームのために」ではなく、選手は自分が試合に出ることだけを考えていた。実際、選手たちの多くがそうした気持ちであったことは、初戦のオーストラリア戦で逆転負けをした後の彼らの言動と、その後の結果が証明している。
北朝鮮戦に勝利した後、ワールドカップ出場を決めて喜ぶジーコと淡々とした選手の表情のコントラストはファンがいない無機質なスタジアムにあって、より鮮明に映った。無観客試合は、それまで見え隠れしていたチームの本当の姿を改めて浮き彫りにしてくれたのである。
文●佐藤 俊(スポーツライター)