チームに吹き上がっていた不満。ミックスゾーンでの選手の声は…
ジーコは、中田英寿と中村俊輔のふたりを軸に、海外組の選手を重宝してチーム作りを始めた。国内組は、海外組がいない時の代用、常にサブ的な位置づけだった。長い時間、国内組で合宿を組んで調整しても、いざ試合になると2、3日前に合流した海外組の選手を起用するなど、その間には明確な一線が引かれていたのである。
「今までの合宿でやってきたのは何だったのか?」
「国内組だって十分できるのに、なぜチャンスを与えてくれないのか?」
そんな声がチームに吹き上がっていた。
実際、ドイツ・ワールドカップ・アジア1次予選、アウェーのシンガポール戦では2、3日前に合流した海外組を起用したが暑さで動けなくなり、危うく敗戦もあり得るかというところまで追い込まれた。選手たちには見えていた課題だが、試合に出ている選手は文句を言わない。それからもその問題の解決には至らず、そのままやり過ごしてきたのだ。
北朝鮮に勝ってワールドカップ出場を決めた時も状況は何も変わっていなかった。そのせいかミックスゾーンでの選手の声も歓喜というよりは冷静で表情は淡々としていた。
「とりあえず、突破できたんでよかったかな」
そんな声がほとんどだったのだ。
「今までの合宿でやってきたのは何だったのか?」
「国内組だって十分できるのに、なぜチャンスを与えてくれないのか?」
そんな声がチームに吹き上がっていた。
実際、ドイツ・ワールドカップ・アジア1次予選、アウェーのシンガポール戦では2、3日前に合流した海外組を起用したが暑さで動けなくなり、危うく敗戦もあり得るかというところまで追い込まれた。選手たちには見えていた課題だが、試合に出ている選手は文句を言わない。それからもその問題の解決には至らず、そのままやり過ごしてきたのだ。
北朝鮮に勝ってワールドカップ出場を決めた時も状況は何も変わっていなかった。そのせいかミックスゾーンでの選手の声も歓喜というよりは冷静で表情は淡々としていた。
「とりあえず、突破できたんでよかったかな」
そんな声がほとんどだったのだ。
ワールドカップ初出場から8年、まだ3回目の本大会出場を決めたばかりなのに、もう出て当たり前と思えるように意識が変わったのかと思ったが、実はそうではなかった。最終予選は突破できたけど、このままでいいのか。本当に自分はワールドカップに行けるのか。行っても果たして試合に出るチャンスがあるのか。今のチームで世界に勝てるのか。そんな疑心暗鬼のマインドが多くの選手を支配していたのである。
この時の選手間の温度差や不安は、ドイツ・ワールドカップ本番で現実となる。
ジーコは、目に見えていた問題を積極的に解決しようとはせず、自分好みのスター選手を集めたオールスターチームにこだわった。そして、ドイツ・ワールドカップメンバーの選考もその方針を貫いたのだった。