控えGK心理の難しさが生んだ失点!?
もうひとつのポイントは、この試合に限ってはGKの差が出たなと思っています。
リバプールはアリソンがケガをして、控えのGKアドリアンが入っていました。一方、アトレティコはいつもどおりオブラクがゴールマウスを守り、前半から際どいクロスを正確に対応していましたし、何度もシュートブロックをしていました。「ゴールを守る」というGKの資質、能力の高さを普段どおりに発揮していました。正直、彼は現代サッカーに求められる「攻撃における最初の選手」としての資質はそこまで高くありません。そこにおいてはロングキッカーですから。
ただ、この点はシメオネ監督のサッカー哲学とも重なりあっていて、「フットボールはミスのスポーツ」だということを前提に、ボールが自陣にあるときには、ゴールから遠ざけるプレーがアトレティコにとっては最優先事項なわけです。そうすると常に「相手陣内にボールがあったほうがいいよね」という原則をもと、シメオネ監督の中では「最終ラインでボールを持つことがいいことではない」わけですから、オブラクがあまりつながずにロングキックを蹴るのはOKなんです。
なぜならGKがボールを足で扱えばミスは起こるし、審判がどんなところで笛を吹くかもわからないから。だから、サイドにボールを、前にロングボールを蹴り出すことは「問題ないこと」にしています。アトレティコは10人のフィールドプレーヤーに1人のGKがいるというサッカーです。
リバプールはアリソンがケガをして、控えのGKアドリアンが入っていました。一方、アトレティコはいつもどおりオブラクがゴールマウスを守り、前半から際どいクロスを正確に対応していましたし、何度もシュートブロックをしていました。「ゴールを守る」というGKの資質、能力の高さを普段どおりに発揮していました。正直、彼は現代サッカーに求められる「攻撃における最初の選手」としての資質はそこまで高くありません。そこにおいてはロングキッカーですから。
ただ、この点はシメオネ監督のサッカー哲学とも重なりあっていて、「フットボールはミスのスポーツ」だということを前提に、ボールが自陣にあるときには、ゴールから遠ざけるプレーがアトレティコにとっては最優先事項なわけです。そうすると常に「相手陣内にボールがあったほうがいいよね」という原則をもと、シメオネ監督の中では「最終ラインでボールを持つことがいいことではない」わけですから、オブラクがあまりつながずにロングキックを蹴るのはOKなんです。
なぜならGKがボールを足で扱えばミスは起こるし、審判がどんなところで笛を吹くかもわからないから。だから、サイドにボールを、前にロングボールを蹴り出すことは「問題ないこと」にしています。アトレティコは10人のフィールドプレーヤーに1人のGKがいるというサッカーです。
一方のリバプールは、「GKが11人目のフィールドプレイヤーでなければいけない」というサッカーです。だから、昨シーズンにGKとしてもフィールドプーイヤーとしても優れているアリソンを獲得しました。
リバプールが決めた2点目のGKの対応が2つ目の大きなポイントになったと踏んでいるのですが、左サイドからキーパーに戻ってきたボールをアドリアンは右CBのゴメスに結構際どいボールをつないだんです。
そこに対してジョアン・フェリックスがプレスに行ったのですが、ゴメスはそのボールをいとも簡単にさばきました。パス自体はバウンドしていたし、ペナルティーエリアの脇あたりだったのでかなりシビアなボールでした。でも、軽くコントロールして持ち出し、ヴァイナルダムにつけました。そして、ヴァイナルダムはプレスをかけてきたオリジをスッと交わしてそのままサイドでボールを運びました。
結果、彼がクロスを入れてゴールが生まれるんですが、私はたぶん「アドリアンがキーパー心理としてそのゴールまでの一連のプレーが忘れられず、気持ち良くなったんじゃないかな」と感じるんです。
これは仕方ない。それはリバプールのGKである以上は11人目のフィールドプレーヤーでなければいけないし、正GKのアリソンは非常にうまいですから、アドリアンにとっては「自分もいいところを」が形になったのですからね。でも、そこがリバプールの1失点目のシーンにつながるんです。
アドリアンに戻って来たボールを左サイドバックがフリーであるにもかかわらず、なぜか中央の狭いところに刺し込もうとしたんです。たしかにジョアン・フェリックスがプレスに反応しなければ、確実にその後ろにいた3人の味方がいたことになるので「そこからまた攻撃に移ろう」ということになるんですが、あのシーンでは確実に左サイドへとボールを展開するか、大きく蹴り出すかの対応を取り、安全にゲームを進めるべきでした。
あのシーンはやはりその前の2ゴール目で「自分のパスから点が生まれた」という気持ち良さが作用しているのではないかと、解説者としてはちょっと深読みしています。ただしGK心理として「オレもこれくらいできるんだ」という何かが働くことは理解できないことはない。
こういうレベルの試合は「ひとつの心理が大きく勝敗を分けるんだな」と、このポジションの難しさ、奥深さを学んだ気がします。
リバプールが決めた2点目のGKの対応が2つ目の大きなポイントになったと踏んでいるのですが、左サイドからキーパーに戻ってきたボールをアドリアンは右CBのゴメスに結構際どいボールをつないだんです。
そこに対してジョアン・フェリックスがプレスに行ったのですが、ゴメスはそのボールをいとも簡単にさばきました。パス自体はバウンドしていたし、ペナルティーエリアの脇あたりだったのでかなりシビアなボールでした。でも、軽くコントロールして持ち出し、ヴァイナルダムにつけました。そして、ヴァイナルダムはプレスをかけてきたオリジをスッと交わしてそのままサイドでボールを運びました。
結果、彼がクロスを入れてゴールが生まれるんですが、私はたぶん「アドリアンがキーパー心理としてそのゴールまでの一連のプレーが忘れられず、気持ち良くなったんじゃないかな」と感じるんです。
これは仕方ない。それはリバプールのGKである以上は11人目のフィールドプレーヤーでなければいけないし、正GKのアリソンは非常にうまいですから、アドリアンにとっては「自分もいいところを」が形になったのですからね。でも、そこがリバプールの1失点目のシーンにつながるんです。
アドリアンに戻って来たボールを左サイドバックがフリーであるにもかかわらず、なぜか中央の狭いところに刺し込もうとしたんです。たしかにジョアン・フェリックスがプレスに反応しなければ、確実にその後ろにいた3人の味方がいたことになるので「そこからまた攻撃に移ろう」ということになるんですが、あのシーンでは確実に左サイドへとボールを展開するか、大きく蹴り出すかの対応を取り、安全にゲームを進めるべきでした。
あのシーンはやはりその前の2ゴール目で「自分のパスから点が生まれた」という気持ち良さが作用しているのではないかと、解説者としてはちょっと深読みしています。ただしGK心理として「オレもこれくらいできるんだ」という何かが働くことは理解できないことはない。
こういうレベルの試合は「ひとつの心理が大きく勝敗を分けるんだな」と、このポジションの難しさ、奥深さを学んだ気がします。