二足の草鞋を履いてできるほど、ブラジルは甘くない
もうひとつ気になるのは、彼がプレーヤーとして以外に多くの事業に関わっている点だ。カンボジア代表監督、オーストリアの3部チームの経営、サッカースクールの運営……。彼の頭は、100パーセント自分のプレーには向かっていない印象を受ける。本気で選手をしているわけではないのかと。
ブラジルでは、二足の草鞋を履いてできるほどサッカーは甘くない。ましてや彼が所属するのは、いまは低調だが、それでも天下のボタフォゴだ。オーストラリアやオランダのようにはいかない。
本田の不幸は、まだ何もしていないのに突然スターに祭り上げられてしまったことだ。ボタフォゴのサポーターは、それに気づかないようにしている。なぜなら彼らにとって本田が最後の希望だからだ。それ以外夢を見る材料がないのだ。
ただその期待が裏切られたとき、熱く、混乱したリオという町で何が起こるかわからない。今シーズンの終わりまでこの町でプレーし続けるには、かなりの努力と強い精神力が必要だろう。
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。
8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
ブラジルでは、二足の草鞋を履いてできるほどサッカーは甘くない。ましてや彼が所属するのは、いまは低調だが、それでも天下のボタフォゴだ。オーストラリアやオランダのようにはいかない。
本田の不幸は、まだ何もしていないのに突然スターに祭り上げられてしまったことだ。ボタフォゴのサポーターは、それに気づかないようにしている。なぜなら彼らにとって本田が最後の希望だからだ。それ以外夢を見る材料がないのだ。
ただその期待が裏切られたとき、熱く、混乱したリオという町で何が起こるかわからない。今シーズンの終わりまでこの町でプレーし続けるには、かなりの努力と強い精神力が必要だろう。
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。
8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。