今季の残る8試合の戦いぶりで名古屋が風間監督との2年半をどう考えていたかが見えてくる
ただし、固定したチーム戦術やグループ戦術が希薄だっただけに、遺産と呼べる要素は、これ以上は少ないかもしれない。意味は変わってくるが、ある意味で戦術に飢えていた選手たち、特に守備の選手たちにとっては規律と決まり事のサッカーは心地よく受け入れられるかもしれない。そうした可能性としての“引き継ぎに優位な点”はある。
以上を踏まえると、やはり注目はフィッカデンティ新監督がどのような舵取りを見せるのかだ。これまでのJリーグでの実績通り、堅実かつ縦に速い組織サッカーを構築していくのか、あるいは前監督の攻撃的マインドが残る選手たちをうまく利用してバランスを取り、攻撃の美しさも備えたチームに仕立て上げていくのか。今季の残る8試合でそれを表現するのは難しいだろうが、その戦いや発言から名古屋が風間監督との2年半をどのように考えていたかが見えてくる気がする。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)