【ミラン番記者】本田圭佑が最高の本拠地フィナーレ。出場に不満だったファンも…

カテゴリ:海外日本人

マルコ・パソット

2017年05月24日

最終節に出る権利が本田にはあるだろう。

ゴールを決めた本田は、仲の良いサパタに駆け寄ってハグをした。(C)Getty Images

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 ゴールを決めた後の数秒間、本田はピッチの真ん中に立ちつくし、動くことができなかった。そこにチームメイトたちが、彼を祝福するために駆け寄る。
 
 その後に突然、ベンチに向かって本田は駆け出した。イタリアでは「モンテッラを殴りに行くのでは?」と思った者も多かったようだが、もちろんそんなことはしなかった。親交の深いクリスティアン・サパタとハグをするためだったのだ
 
 そして、タイムアップの笛が鳴ると本田は、いつものように一番先にロッカールームに続くトンネルに向かったが、チームマネジャーがピッチに残るように指示を出していた。サン・シーロでのシーズン最終戦だったので、全員でサポーターに感謝を告げるためだ。
 
 ウルトラス(熱狂的サポーター)の陣取るクルバ・スッド(南側スタンド)を皮切りに選手たちはスタジアムを一周した。本田も仲間たちと共にサポーターに拍手を送って手を上げ、ミラニスタもまた彼を称賛した。
 
 本田の心中は他の選手とは違っただろう。彼にとっては、サン・シーロのサポーターとの最後の別れだった。取材ゾーンでは日本人記者の前で「ミラニスタにありがとうと伝えてください」と言い残し、さらに翌日にはツイッターにこう書いたのだ。
 
「親愛なるミラニスタのみなさん。ありがとう。ミランでの3年間の日々は挑戦の連続でしたが、僕を人間としても大きく成長させてくれました。今シーズン限りで僕はミランを去りますが、また違う形でみなさんとお目にかかればと思います。永遠にFORZA MILAN!(頑張れミラン) 愛情をこめて」
 
  本田の感謝は一貫してミラニスタだけへのもので、クラブに対しても、チーム幹部に対してでも、もちろん監督に対するものでもなかった。ミラニスタは時に激しいブーイングも浴びせたが、常に彼の献身とプロ精神を高く評価していた。だからこそ本田は頭を高く上げて、サン・シーロを去ることができた。
 
 今シーズンはあと1試合、最終節のカリアリ戦(5月28日)が残っている。この試合でモンテッラが最後の小さなプレゼントとして本田をスタメンとして使うかどうか、それはまだ分からない。しかし、本田にはそれだけの価値はあると、ミランでの3年半の冒険を良い形で終わらせるだけの貢献はしてきたと、私はそう思う。

【ミランの本田圭佑 PHOTO】“歓喜”と“挫折”が混在した3年半を写真でプレイバック
 
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
 
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
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