――パスサッカーへの執着はない？
 
「浮かすボールがより効果的になる。そうするためにはどうすればいいか？　ショートパスだけに固執していたら、相手にとって分かりやすい攻撃になってしまう。そこで相手の逆を突く。ボールを丁寧に動かすのは、そのためでもあります。
 
　それに鹿児島はスピーディな攻撃が特長でした。そこをさらに対戦相手や観ている人に速く見せるためにも、しっかりと丁寧にボールを出し入れすること。そのボールを大事するところから、攻撃の奥深さにもつながると考えて取り組んでいます」
 
――開幕が近づいてきましたが、手応えは？
 
「しっかり時間をかけて選手とコミュニケーションを取り、意識を共有し合えています。ただ、サッカー界ではなにを持ってこの時期に順調と言えるかは難しいところですからね……。とはいえ、良い手応えは掴めています」
 
――ニューイヤーカップは熊本に勝利を収め、磐田と北九州に引き分け。課題も収穫もあり、内容は充実していました。加えて、お年寄りから子どもまで、とてもたくさんの方がスタンドに足を運び、会場はユナイテッドを勝たせようという良い雰囲気に包まれていました。
 
「嬉しいですね。きっとかなり以前から、サッカーを好きな方々もいらっしゃると思います。皆さんが喜びを感じてもらえるサッカーをしたいですね」
 
――昨年はスタジアムの課題がクリアできず、鹿児島はＪ２ライセンスを取得できませんでした。鴨池陸上競技場は改修工事後も、いくつか課題があるようです。一方、専用スタジアム建設に向けた機運も高まっているようです。
 
「多くの方々が専用スタジアムを作るために声を上げてくれています。また、鴨池も改修工事が進み、前進しています。そこに勢いをもたらせるように、私たち現場はできることをやることに集中していきたいです」
 
――鹿児島には、今「勢い」が感じられますね。
 
「感じます。ただ急ぎすぎても、山登りだったら、滑落したり、酸欠したりするかもしれません。急ぎすぎてはいけない。それでも鹿児島は、ある程度のスピードでも登れるパワーを持った土地柄だと感じています。それはこのクラブの前身を築いてくれた方々がいてくれたお陰でもあり、すべての方に感謝しています」