冬の移籍市場でCF獲得に大金を投じる必然性はあるのか?
現在のナポリ攻撃陣は、ハイボールが使えないため、グラウンダーのコンビネーションでボールを届けなければいけないという制約はあるものの、メルテンスが一旦好位置でボールを持ったら最後、強引かつクイックに、最大でも1秒・3タッチ以内にシュートを枠に収めてくる。インシーニェ、マレク・ハムシクというアシストに関してならセリエAでも5本の指に入るプレーヤーを、2人も擁しているのも大きい。
3試合で8ゴールというビッグイベントのハイライトとなったのは、7得点目となったトリノ戦における4ゴール目。ペナルティーエリア右寄りでボールを持ち、自身とゴールの間に3人のDFが立ちはだかっていると見るや、右コーナーフラッグに向かってゴールから遠ざかる方向にドリブルを始める。
そうしてマーカーとの間にスペースを作り出した次の瞬間、左足を軸に180度反転するように身体を大きく捻り、右足で浮き玉のシュートを蹴り出したのだ。
ボールはニアポスト際に構えていたGKジョー・ハートをあざ笑うようにその頭上をふんわりと越え、ファーポスト際のサイドネットを柔らかく膨らませた。翌日のマスコミは一斉に「ディエゴ・マラドーナを思わせるスーパーゴール」と称えた。
皮肉なことにナポリは、トリノ戦のつい数日前、ミリクの穴を埋める(そして来年2月の復帰後はバックアップを務める)CFを1月の移籍市場で獲得すべく、ジェノアとの間でレオナルド・パボレッティの獲得について合意に達したばかりだった。
メルテンスがこういう形で覚醒した今、果たして故障明けのパボレッティに1800万ユーロ(約21億6000万円)という大金を積む必然性があるのかどうか、疑問にも思えてくるが……。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。
3試合で8ゴールというビッグイベントのハイライトとなったのは、7得点目となったトリノ戦における4ゴール目。ペナルティーエリア右寄りでボールを持ち、自身とゴールの間に3人のDFが立ちはだかっていると見るや、右コーナーフラッグに向かってゴールから遠ざかる方向にドリブルを始める。
そうしてマーカーとの間にスペースを作り出した次の瞬間、左足を軸に180度反転するように身体を大きく捻り、右足で浮き玉のシュートを蹴り出したのだ。
ボールはニアポスト際に構えていたGKジョー・ハートをあざ笑うようにその頭上をふんわりと越え、ファーポスト際のサイドネットを柔らかく膨らませた。翌日のマスコミは一斉に「ディエゴ・マラドーナを思わせるスーパーゴール」と称えた。
皮肉なことにナポリは、トリノ戦のつい数日前、ミリクの穴を埋める(そして来年2月の復帰後はバックアップを務める)CFを1月の移籍市場で獲得すべく、ジェノアとの間でレオナルド・パボレッティの獲得について合意に達したばかりだった。
メルテンスがこういう形で覚醒した今、果たして故障明けのパボレッティに1800万ユーロ(約21億6000万円)という大金を積む必然性があるのかどうか、疑問にも思えてくるが……。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。