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鳴り物入りでFC東京入団も出場ゼロで引退…。怪我に泣いた男が波瀾万丈キャリアを経て“敏腕実業家”の成功を掴むまで

カテゴリ:連載・コラム

河野 正

2024年05月16日

留学支援者は513人を数えるまでになった

中村氏は「送り込んだ学生がいつかW杯に携わってくれたら嬉しい」と語る。(C)WithYou

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 中村が留学した時の世話役だった西村明香とともに13年2月、スポーツと米国留学を支援する株式会社『WithYou』を設立。

 取締役の西村は、「大学の監督とつながりができるまで私が一般留学のアテンドをし、中村はサッカー部へ挨拶回りをする毎日でした」と往時を回想。中村は「短大在学中からコネクションづくりのため、3年ほど米国全土を奔走して顔と名前を覚えてもらった。オンラインでなく、直接会うことで誠意を示せたと思います」と説明する。16年11月に日本法人ができるまでの3年半、米国での精勤を続けた。

 年を重ねるごとに受け入れてくれるチームが増えていった。両国のサッカーはスタイルが異なり、いくら有能な日本人でも米国のチームでは機能せず、適合しないこともしばしばだ。「この選手が輝けるチームはどこなのか、熟考を重ねて慎重に選考しました。監督の信頼を勝ち得たのは、送った選手が活躍してくれたことに尽きる。目利き違いをしたら失敗していましたね」と語る。

 ライバル校の監督から「うちにはもっといい選手を送ってほしい」と要求されたケースもあり、「中村なら好人材を頼める」と監督間で評判にもなった。22年のカタール・ワールドカップのグループリーグで、日本がドイツとスペインを連破したことも日本人の評価を高めたという。

 事業が軌道に乗ったのは、意外にも新型コロナウイルスがまん延し始めた20年だ。西村が「入国制限もありましたが、当初希望した人のほとんどが留学したのには驚きました」と振り返ると、中村が「スポーツには夢を叶える力があるから」と付け加えた。「一般留学はいつでも可能ですが、スポーツ留学はパフォーマンスを発揮できる旬の時にしかできない」と熱っぽく語りかけた。

 米国の大学指導者を日本に招き、トライアウトと呼ばれる加入テストも実施している。初回は17年4月に行なったが、関東に10人、関西に20人しか集まらなかった。それが今年3月の15回目には関東と関西で310人が挑戦し、選手はアピールに全力を注ぎ、監督は好素材の発掘に熱視線を送った。

 トライアウトは毎年1月には必ず開催し、監督に全国高校選手権決勝を観戦してもらう。高校サッカーの高い水準と人気を知ってもらうためだが、理解してもらうまで苦労したそうだ。「クラブチームの選手は欲しいが、日本一になっても高校チームにはいい選手がいない、という認識でした。今は国立競技場の決勝に驚いていますよ」と大笑いした。

 この6月には10日(福岡)、11日(愛知)、12日(福島)で16回目のトライアウトを実施する。15年は1人だったが、今年の予定者も数えると留学支援者は513人を数えるまでになった。Jリーガーとしての夢ははかなく、次なる挑戦もなかなか見つからなかったが、“10年掛かっても”の思いで一意専心した末、成功とやりがいを手に入れた。

 神戸と渋谷、ニューヨークに事務所を構え、日米を慌ただしく往来。近い将来の夢を尋ねると「選手でなくてもいいんです。送り込んだ学生が運営でもボランティアでも、なんでもいいからワールドカップに携わってくれたら嬉しい」と答えた。
 
 サッカーしか関心のなかった高校生が、英会話にも興味を抱くようにアシストしていきたいという。

「サッカーを入り口に英会話も習得するんだという動機付けが僕らの仕事。一番のやりがいは、その人の心にそういう灯をともすことです」

 中村が展開する事業については、大宮の原も知っていた。「アメリカの大学と一緒にやってるんでしょ。アメリカはプロだけじゃなく、能力のある選手は奨学金をもらえるし、すごくいい仕事だよね」と、教え子が栄職にたどり着いたことを喜んだ。

(文中敬称略)

取材・文●河野 正

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