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鳴り物入りでFC東京入団も出場ゼロで引退…。怪我に泣いた男が波瀾万丈キャリアを経て“敏腕実業家”の成功を掴むまで

カテゴリ:連載・コラム

河野 正

2024年05月16日

滝川二時代には選手権でベスト4進出

株式会社 WithYouの代表取締役を務める中村氏。日米サッカーの架け橋となっている。写真:河野正

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 大学サッカーで名を上げ、将来を嘱望されてFC東京に加入したものの、長年抱えていたひざ痛が我慢の限界を超えた。185センチの長身DF中村亮は2年間の在籍中、公式戦でベンチ入りすら果たせぬまま引退。中学教師や芸能界を経験した後、米国で身に付けた語学力と独創性を活かして起業すると、今では日本の高校生を米国の大学へ送り届ける評判の実業家になった。

 全国高校選手権と全日本ユース選手権を1度ずつ制した兵庫の名門、滝川二の出身。2年生だった第77回全国高校選手権県予選は、それまで控えメンバーにも入らなかったのに決勝でいきなり先発した。地元テレビ局のアナウンサーが、黒田和生監督の言葉として「中村は隠し玉」と実況で連呼したという。本大会は韮崎、青森山田、清水商などの強敵を連破して4強まで進んだ。

 左利きで小さい頃から大柄の中村は、左SBを専門職にしてきた。韮崎との全国高校選手権1回戦では、鹿島アントラーズなどで活躍した深井正樹とマッチアップ。「レベルが全然違い、軽快なステップでかわされた時に右ひざをねん挫しました」と述懐したが、中学時代から右ひざには爆弾を抱えていたのだ。

 両親が教師だったこともあり、教員免許を取得するため日本で唯一の国立体育大学である鹿屋体大に進学し、サッカー部では1年から主力に抜てきされる。3年で全日本大学選手権8強、4年で全日本大学選抜の一員としてユニバーシアード大邱大会を制し、FC東京のほか浦和レッズや清水エスパルス、ヴィッセル神戸から獲得の申し出があった。

 2004年にFC東京へ加入した理由について、「原(博実)監督の外から仕掛ける戦い方が好きでした。高校の先輩である加地(亮)さんや金沢(浄)さん、石川(直宏)さんが演じるサイドアタックに魅力を感じたものです」とうなずいた。続けて「ポジションのかぶる三都主(アレサンドロ)も04年の移籍なので、浦和に行ったらえらいことになった。もっとも怪我で何もできませんでしたけど」と笑う。
 
 大きな期待を背負ってスタートしたプロ生活だが、「復帰しては痛み出し、リハビリに明け暮れた2年間」と渋面をつくったように、公式戦ではトップチームの試合に1度も帯同できなかった。中学時代から右ひざ半月板がロッキングし、今でもいうことを利かないそうだ。

 在籍当時の監督で、現在は大宮アルディージャのフットボール本部長を務める原は、「ひざが悪かったんだよ」と言った後、「足が速くてフィジカルの強い大柄の左利きで、面白い選手だと思ったけど、治っては悪化する繰り返しでかわいそうだったね」と往時を鮮明に記憶していた。

 ただ“治っては悪化”したのではない。04年11月と05年2月に手術したが根治していなかったのだ。「治ったと診断されてリハビリしても、痛くて動けなかった。プロになって練習の強度も一気に上がり、限界がきたんでしょうね」と振り返る。
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