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どこよりも詳しい「アントニオ・コンテの履歴書」。チェルシー転身の理由、キャリア、戦術的志向、所望する新戦力

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2016年04月05日

「4-2-4システム」の攻撃メカニズムに強いこだわりを持つ。

セリエA3連覇を達成したユーベでは、ピルロ(中央)というレジスタの特性を活かすため4-2-4を一度は捨てるも、最終的には実質3-3-4という特異なシステムをチームに根付かせた。(C)REUTERS/AFLO

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(3)志向するスタイル&戦術
 
 コンテは監督キャリアの初期に出会って研究を重ねた4-2-4システムの攻撃メカニズムに、強い愛着とこだわりを持っている。遡ること10年前のシエナ助監督時代、当時ピサ(3部)を率いていたアントニオ・トーマ(現レッチェU-17監督)の戦術メカニズムがそのモデルで、セリエB時代に勝ち取った二度のA昇格も、いずれもこのシステムを武器にしたものだった。
 
 このメカニズムを一言で説明すると、相手の4バックに対して2トップ+2ウイングの4人で4対4の関係を作り、ダイレクトパスを多用したコンビネーションによってそのギャップを突き、敵最終ラインの裏のスペースで敵GKとの1対1を作り出す、というものだ。
 
 敵陣まで押し上げたSBから、それぞれCBを背負って中央に並ぶFWに斜めのパスを入れ、ボールに近い方のFWが戻りながらそれを受ける動きをすると見せかけてスルー、すかさずターンして裏のスペースに飛び出し、ボールから遠い方のFWがそれをダイレクトで裏に送り込むというコンビネーションは、その代表的なパターンのひとつだ。
 
 このパターンひとつを取ってみても分かるように、コンテは手数をかけずスピードに乗った展開で一気にフィニッシュまで持っていく速攻を好む傾向が強い。中盤で数的不利に陥りやすいという重大な欠点を持つ4-2-4システムにあえてこだわるのも、「ポゼッションによるゲームコントロールを放棄してでも、最後の30メートルで効果的な攻撃ができるほうがいい」という信念を持っているため。「ボール支配率は低くてもいい」という割り切った考え方の持ち主だ。
 
 ユーベではピルロという司令塔を活かすために当初こそ4-2-4を封印して4-3-3にシステムを変更したが、前記した4対4の攻撃パターンに対するこだわりを実現するため、就任2年目からは攻撃時に左右のウイングバックがFWと同じラインにまで上がって実質3-3-4となる3-5-2にシステムを再変更したほどだ。
 
 守備に関しては、高い位置でのボール奪取を狙うアグレッシブなハイプレスも時間帯や状況によって交えるものの、基本的には一旦リトリートして低すぎない位置にコンパクトな4DF+4MF(4-2-4では守備時に両ウイングを中盤まで下げる)の2ラインを敷くオーソドックスな戦術を採っている。
 
 総合的に見れば、「ポゼッション志向とは対極にあるモダンな堅守速攻スタイル」がコンテのサッカーと言えるだろう。
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