【識者の視点】なでしこの敗退、U-23の勝利からフル代表はなにを教訓とすべきか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年03月23日

競争を煽るハリルホジッチ監督だが、メンバーや戦術に目立った変化は見られない。

3月のW杯アジア2次予選で、ハリルホジッチ監督は自身の体制下でハーフナーを初招集した。だが、ブラジル大会やなでしこの敗退を教訓とするなら伸びしろを見込んだ選考も今後は必要になるはずだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 そして今、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いるフル代表の置かれた立場を考えれば、明らかに男子のU-23代表同様に挑戦者である。
 
 アルベルト・ザッケローニ体制で2011年にアジアを制し、その後は着実に世界との距離を縮めたかに見えたが、同監督の任期後半に失速。2年前のブラジル・ワールドカップでは惨敗した。メンバーにも戦術にも進化が見られなければ、次のロシア・ワールドカップでも前回以上の成績は望めない。
 
 ところが就任から約1年間を経過しても、メンバーにも戦術にも目立った変化は見られない。むしろ依然として試行錯誤が続いている印象である。ハリルホジッチ監督は自ら「ここ数年代表に定着している選手たちのなかには、このまま50年間くらい関わり続けられるという雰囲気を醸し出している者がいる」と牽制した。しかし、もしそういうムードが漂うとすれば指揮官自身の責任であり、それを断ち切れるのも監督本人しかいない。
 
 ブラジル・ワールドカップでアルジェリアを率いて、土壇場までドイツを苦しめた監督だけに世界基準は把握している。またそこに届くためには、どんなパフォーマンスが必要かも判っているはずだ。
 
 だが半面、誰がそこまで到達できる資質を備えているかは見極め切れず、目移りと品定めが続いている。今回も新たにハーフナー・マイクが招集されたが、すでにザック体制ではハーフナーが入ると、なにが起こるかまで検証済みだった。
 
 もちろん新監督が着任すれば、改めて自分の眼で検証する必要もあるのだろうが、そろそろ選考基準も、もう少し伸びしろへと比重を傾けていく必要がある。競争原理は不可欠だが、サブメンバーを入れ替えながら厳しさを要求するだけでは、世界は近づいて来ない。
 
文:加部 究(スポーツライター)
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