巧さだけでは通用しない――久保建英という才能に“森山イズム”がさらなる磨きをかける

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2016年03月22日

「技術で上回ればいいという考えは捨てたほうがいい」

サニックス杯では6試合・3得点の結果を残した久保。大会の優勝に貢献したが、森山監督の要求するところはまだ十分満たせていないようだ。写真:安藤隆人

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 巧い。間違いなく巧い――。
 
 3月17日~20日に行なわれたサニックス杯で優勝を果たしたU-17日本代表。そのなかで、時折見せる高い技術やシュートで観客を沸かせた久保建英のことだ。
 
 だが、彼が中心となってチームが勝ち上がったかと言えばそうではない。サニックス杯で久保がゴールを挙げたのは、6試合中2試合で3ゴールだが、その内訳を見ると、2点を決めたグループリーグ第3戦の北京高校選抜戦も、4-0と試合が決してからのゴールで、1点目は折り返しが相手のDFに当たってコースが変わってゴールインしたもの。2点目はPKだった。
 
 話題となった、グループリーグ第2戦のU-17韓国高校連盟選抜戦のハーフボレーによる先制弾も、鮮やかなゴールであることに間違いなかったが、それらをもってしても、彼がコーチングスタッフ陣が満足のいく活躍を見せたかと言えば、決してそうではなかった。
 
 ファーストタッチは絶妙で、軽やかな身のこなしでボールを収めることはできるが、そこからのプレーの連続性という面では、まだ物足りない。前を向いて、ひとりをかわした後にカバーに来た選手に潰されたり、縦パスを入れるべきタイミングで横パスを選択したりと、判断の甘さからプレーをやりきれない場面は少なくない。
 
 もちろん、加味しなければいけない面もある。久保は今大会で言えば、最大で3学年上の選手と戦い、U-16でも2学年上の選手と戦っている。当然フィジカル的な差があって然るべきで、パワーに押し込まれたり、パスが届かなかったりと、酷な状況のなかで戦っている。
 
 そのなかでここまでのプレーを見せているのはさすがだが、彼をより成長させるためには、この環境下で『やりきる強さ』を身につけさせることは、非常に重要なことになる。
 
「もう『技術で上回れば良い』という考えは捨てたほうがいい。例えばイングランドだったら、U-15とU-18では、あっという間に差がつく。将来、自分より速くて、強くて、上手い海外の選手と互角に渡り合うためには、13~15歳から(どんな環境下でも戦える選手の育成を)始めないと、取り残されて行く」
 
 森山佳郎監督がこう危機感を抱くように、巧さでごまかせるU-15と、ごまかせないU-18以上。この境目で取り残されないために、技術や能力のある選手ほど、厳しく要求していくという考えがベースにある。
 
 だからこそ、森山監督は久保に対しての立ち位置をはっきりとさせている。チームのなかでも間違いなく高い技術を持ち、才能豊か。名門・バルセロナの下部組織で鍛え上げられたサッカーセンスは群を抜いている。
 
 しかし、それに刺激されるように、周りも伸びている。今回のU-17日本代表、そして今秋にU-16アジア選手権を控えるU-16日本代表は、決して『久保のチーム』ではないし、森山監督自身もそうは思っていない。
 
 

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