ナポリの主力では唯一の生え抜き、しかも生粋のナポリっ子ということもあり、常に過剰なほどに大きな期待を集める存在だ。時にはそれが大きなプレッシャーとして働くこともあり、サポーターとは愛憎相半ばする複雑な関係にある。
 
　まだレギュラーに定着していなかった12-13シーズンには、不本意なパフォーマンスに終わった試合後にブーイングの口笛を浴び、それに反発すジェスチャーを見せたために、ゴール裏のウルトラスと険悪な関係になった。
 
　その後レギュラーに定着してコンスタントに活躍するようになり、関係は自然と修復されたが、それでも今もまだ、例えばローマにおけるトッティやダニエレ・デ・ロッシのように、絶対的なシンボルとして無条件に溺愛される存在というわけではない。
 
　ナポリでその立場にあるのは、かつての英雄ディエゴ・マラドーナと同じアルゼンチン人のゴンサロ・イグアインであり、インシーニェは生え抜きであるにもかかわらず脇役にとどまっている。サポーターからの人気は、イグアインはもちろん、在籍９シーズン目の主将マレク・ハムシク（スロバキア代表）よりも低いかもしれない。