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「未練がましいだけですよ」44歳にして現役を続ける“浦和レッズの元9番”永井雄一郎は爽やかに笑った「もっと巧くなりたい欲がある」

カテゴリ:Jリーグ

河野 正

2023年08月10日

「これまでの積み重ねがようやく形になってきたのかな」

現役を続けながら、解説業やジュニア年代の指導もこなしている。超多忙なサッカー漬けの日々だ。写真:河野正

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 14年には、関西リーグ1部のアルテリーヴォ和歌山の監督に就任するワールドユースの同僚、辻本茂輝に誘われ、初のアマチュアチームへ移籍。サッカーに情熱を注ぐ選手ばかりで刺激を受けたそうだ。翌年からJ2群馬で3年間プレーしたが、長女の小学校入学もあってセカンドキャリアを真剣に考え、自宅のある横浜市へ戻ることを決意。もうJリーガーへのこだわりはなくなった。

 18年から2シーズン、神奈川県社会人リーグ1部のFIFTY CLUBに加入し、日本フットボールリーグ(JFL)昇格を目ざした。この年からDAZN中継のJ2解説者1年生となる。

 永井はJリーグを離れた時点で第2の人生が始まったと認識する。

 その後は同じ神奈川県社会人リーグ2部、浦和で同僚だった阿部敏之が指揮を執るはやぶさイレブン(今季から厚木はやぶさFCに改称)へ転籍。2年目はコーチ兼任、1部に昇格した昨季は監督兼任で現役を続け、関東社会人大会を制して関東リーグ2部昇格を果たした。

 ところが論功行賞があったどころか、契約更改の条件面で折り合いがつかず、昨年12月にチームを離れた。永井は「監督として初タイトルは嬉しかったけど、クラブから功績に対する正当な評価を得られなかった」と残念がった。

 それでもサッカーへの気力や雄心は一向に衰えない。今年1月末、埼玉県社会人リーグ北部地区3部に所属するKONOSU CITY FCから声が掛かると、3月に監督兼選手として加わった。これまでのキャリアのなかで最も低いカテゴリーなのに引き受けた。

 なぜ、そんなにサッカーが好きなのか? 未練がましくやっているだけですよ、と笑ってこう続けた。

「自分の価値を評価してくれるチームがあればずっと選手でいたい。昔はJ1でできないのなら終わりと思ったけど、今はそういうことに関係なく、サッカーをやっていたい思いが強い。カズさんじゃないけど、もっと巧くなりたい欲があるし、引退を考えたこともない。これまでの積み重ねがようやく形になってきたのかな。指導者にしても解説者にしても信頼されているからやれるので、その対価に見合ったものをしっかり返さないといけません」

 解説は昨季までがJ2で、6年目の今季からJ1も受け持つ。担当するカードは、両チームの直近の映像を最低3試合ずつ見る。ルヴァンカップを挟むと若手が出場するので、5試合ずつチェックするが、監督という立場からいい勉強になるそうだ。

 社会人チームの練習は夜間に週2日。永井を除く選手19人は全員が大学生だ。当面は来季の2部昇格と選手の意識改革を目ざす。

 5月からは浦和のMF安居海渡の母校、浦和学院高校サッカー部のアドバイザーに就任し、部活動の手伝いを週に1度こなす。同校では小学1~6年生を対象にサッカーと英語をセットにしたスクールを展開。これにも週に1回携わるほか、神奈川県海老名市にある小学生のクラブチームでも、アドバイザーを務める多忙な日々を送る。
 
 日本サッカー協会公認の指導者資格は昨年末、A級ジェネラルを取得。来年は最上位のS級に挑戦する予定だ。

「S級を取って、いつの日かJリーグの監督をやりたい夢がある。今は指導者として何でも吸収し、たくさんのことを学んで引き出しを広げたいですね。高校生とも接しているので、学校教育についても勉強していきたい」

 監督との兼務が始まった昨季が1試合、今季も目下出場は1試合だ。「昔のような伝説的ゴール? それがチームの結果につながるのであれば、決めてみたい意欲はありますね」。背番号は浦和で着用して以来のナンバー9、記憶に残るゴールを量産した験のいい番号だ。

取材・文●河野 正

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