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「未練がましいだけですよ」44歳にして現役を続ける“浦和レッズの元9番”永井雄一郎は爽やかに笑った「もっと巧くなりたい欲がある」

カテゴリ:Jリーグ

河野 正

2023年08月10日

12年間プレーした浦和を退団。その舞台裏の真相は――

07年のACLでは決勝でゴールを挙げるなど獅子奮迅の働きぶり。大会MVPを獲得した。(C)SOCCER DIGEST

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 04年の東京V戦では初のハットトリック。64分に廣山望と小林大悟を振り切り、林健太郎のタックルもかわして約60メートルを運んで決めた3点目は語り草だ。

「ジョージ・ウエアの映像を見て度肝を抜かれ、いつか自分もこんな点を取りたいと思った。スペースがあったから走り、潰しに来た林さんをいなしたら目の前に誰もいなかった」

 ウエアはACミランでの96年、ベローナとの開幕戦で自陣ペナルティーエリアから、敵のペナルティーエリアまで長距離を運んで得点している。両者に共通するのが、相手CKから逆襲に転じて決めたことだ。

 浦和で2番目に思い出深いのが、2連覇した06年度のガンバ大阪との天皇杯決勝だ。初優勝したリーグ戦の先発は7試合しかなく、前年度決勝は脚の状態が悪くてベンチを温めただけ。それだけにタイトルへの思いが人一倍強かった永井は、4試合で3得点。決勝はシュート数6対21という劣勢のなか、87分に岡野の右クロスを右足で蹴り込んだ。

「ガンバに攻められっ放しでゴール付近に全然運べなかったけど、岡野さんが入ったからボールが前に進むと信じていた。自分のゴールで優勝できて本当に嬉しかった」

 07年も輝いた。2位の浦和は8月15日に首位G大阪と敵地で対戦。負ければ勝点差は7に開き、勝てば1差となる大阪夏の陣だ。62分、決勝点となる抑えの利いたシュートをゴール右上に突き刺した永井は、「居残りで(GK加藤)順大とペナの外からコースに蹴り分ける練習をしてきた成果が出た。相手がガンバだけにすごく嬉しかったなぁ」と述懐。このゴールで20戦連続得点というチーム新記録を樹立した。

 初出場で日本勢初の頂点に立ったアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は、日本人初のMVPを受賞する。浦和で忘れられない試合の1位には、セパハン(イラン)と争った決勝第2戦を選んだ。

 22分、ロブソン・ポンテの縦パスを預かり、ペナルティーエリアに入ると右足を強振。この決戦に向け“取れるぞ、振り抜け、振り抜くんだ”と自己暗示をかけて臨んだそうだ。「僕にはああいうシュートが少ないけど、チャンスが来たら小細工せずに振り抜こうと決めていた。取りたくて取ったゴールでしたね」。
 
 この優勝で出場権を獲得したクラブ・ワールドカップでは日本人得点者第一号となり、ワールドユース(現U-20ワールドカップ)に2度出場した日本人選手も永井とGK南雄太だけだ。まさに記憶にも記録にも残るアタッカーなのだ。

 07年末あたりから真剣に移籍を考え始めた。かつて移籍について相談した福田から、浦和で何かをなし遂げてから出るべきだと忠告されていた。ACLでチームに何かを残せたし、よそのクラブの景色も見たくなった。浦和が08年に高原直泰、エジミウソンのストライカーを補強したことも少なからず影響した。

 当時はゲルト・エンゲルス監督との確執が盛んに取り沙汰されたが、本当の理由はこういうことだ。

 09年に清水エスパルスに完全移籍。新しい環境に馴染めず、怪我も多発したことで苦難の3年を過ごした。J2横浜FCには12年から2年間在籍したが、故障もあって持てる力を出し切れなかった。ただ三浦知良との出会いは大きな財産という。「すべてをサッカーに捧げ、いくつになっても巧くなりたいと努力する姿は凄まじかった」と敬意を表した。
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