人見知りが激しかった中学時代。同年代のライバルの存在が成長を促す。
澤のサッカー人生を開花させることになるベレーザでは、かけがえのない多くの出会いがあった。「人見知りの激しい性格だった」と本人も認める中学生時代。そんな澤をありのままに受け止めてくれたのが、ベレーザに所属する先輩選手たちだった。
当時のベレーザには、本田美登里(現AC長野パルセイロレディース監督)、野田朱美(現日本サッカー協会女子委員長)、高倉麻子(現U-19女子代表監督)など代表選手を多く抱えた国内屈指の強豪チームだった。そんな選手たちとともに、中学生の澤は“大人のサッカー”に触れながら順調に成長を遂げていった。
しかし、澤の成長を促したのは愛情のある先輩たちだけではない。男子に交じってサッカーをやってきた澤にとり、同性、同年代のライバルの存在も貴重だった。なかでも、澤同様、中学生でメニーナからトップに昇格した同級生の加藤與恵、原歩のふたりの存在は特別だった。“中学生トリオ”と呼ばれた彼女たちは注目を集め、そして常に比較された。
「そもそも、タイプの違う3人を比べるなんて、おかしな話ですよね。でも、そうした視線にさらされることで、互いに意識して、刺激し合いながら成長できたのは事実です。まさに周りの思うツボだったのかも」と、澤は懐かしそうに振り返る。
対して、“中学生トリオ”のひとりである原の見解はこうだ。
「周りはライバルという括りで見ていたかもしれませんが、私は3人のなかでも実力は一番下だと思っていたから、まだ楽だったのかもしれません(笑)。自分にできるのは、ふたりの後を必死に追っていくことだけでした。きっと先頭を走る澤のほうが、何倍も苦しかったはず」
原が澤を最初に見たのは、読売サッカークラブのスクールに参加した小学6年生の時で、すでに“大人”の貫禄を放っていた澤に圧倒されたという。ベレーザでともに戦うようになっても、澤は主力としてプレーし、代表にも選出されていた。
原にとって、澤は常に一歩先を行く存在だった。
「そこに追いつけば、そして追い越すことができれば、自分はきっともっと強くなれると思ってました。でも当時はあまり話をしませんでしたね。ごみ(加藤の愛称)はいろんな人と話をするタイプだったけど、私は逆。特に澤とは話さなかった(笑)。でも……“分かる”んです。ピッチ上でも、澤は今どうしたいのか、なにを伝えたいのか、が。だからこそ話す必要がなかったのかもしれませんね」
澤と原、このふたりは様々な面でよく似ている。だからこそ、互いの存在を認め合いながら、言葉を交わさずとも理解し合えたのだろう。
当時のベレーザには、本田美登里(現AC長野パルセイロレディース監督)、野田朱美(現日本サッカー協会女子委員長)、高倉麻子(現U-19女子代表監督)など代表選手を多く抱えた国内屈指の強豪チームだった。そんな選手たちとともに、中学生の澤は“大人のサッカー”に触れながら順調に成長を遂げていった。
しかし、澤の成長を促したのは愛情のある先輩たちだけではない。男子に交じってサッカーをやってきた澤にとり、同性、同年代のライバルの存在も貴重だった。なかでも、澤同様、中学生でメニーナからトップに昇格した同級生の加藤與恵、原歩のふたりの存在は特別だった。“中学生トリオ”と呼ばれた彼女たちは注目を集め、そして常に比較された。
「そもそも、タイプの違う3人を比べるなんて、おかしな話ですよね。でも、そうした視線にさらされることで、互いに意識して、刺激し合いながら成長できたのは事実です。まさに周りの思うツボだったのかも」と、澤は懐かしそうに振り返る。
対して、“中学生トリオ”のひとりである原の見解はこうだ。
「周りはライバルという括りで見ていたかもしれませんが、私は3人のなかでも実力は一番下だと思っていたから、まだ楽だったのかもしれません(笑)。自分にできるのは、ふたりの後を必死に追っていくことだけでした。きっと先頭を走る澤のほうが、何倍も苦しかったはず」
原が澤を最初に見たのは、読売サッカークラブのスクールに参加した小学6年生の時で、すでに“大人”の貫禄を放っていた澤に圧倒されたという。ベレーザでともに戦うようになっても、澤は主力としてプレーし、代表にも選出されていた。
原にとって、澤は常に一歩先を行く存在だった。
「そこに追いつけば、そして追い越すことができれば、自分はきっともっと強くなれると思ってました。でも当時はあまり話をしませんでしたね。ごみ(加藤の愛称)はいろんな人と話をするタイプだったけど、私は逆。特に澤とは話さなかった(笑)。でも……“分かる”んです。ピッチ上でも、澤は今どうしたいのか、なにを伝えたいのか、が。だからこそ話す必要がなかったのかもしれませんね」
澤と原、このふたりは様々な面でよく似ている。だからこそ、互いの存在を認め合いながら、言葉を交わさずとも理解し合えたのだろう。